海星・田中 エンジン全開 オートレーサーの父譲りスピードで県勢70勝呼んだ

[ 2023年3月21日 05:20 ]

第95回選抜高校野球大会第3日・2回戦   海星5―1社 ( 2023年3月20日    甲子園 )

<社・海星>初回、永田の左犠飛で生還する海星・田中(撮影・井垣 忠夫) 
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 2回戦3試合が行われた。海星(長崎)は社(兵庫)と対戦し、5―1で勝利した。1番の田中朔太郎内野手(2年)が先制のホームを踏み流れをつくるなど2安打1盗塁と躍動した。通算49回の優勝を誇る現役オートレーサーの父・茂さん(46)がアルプス席から見つめる中で最高の結果を出した。長崎県勢は甲子園春夏通算70勝目をつかんだ。

 父譲りの勝負強さとスピードを海星の田中朔太郎が見せつけた。

 初回だ。遊撃への強襲安打で出塁し、犠打と相手の暴投で三塁へ。1死三塁で、浅い左飛で50メートル6秒2の脚力を生かし、迷いなくホームに突っ込み先制点を足でもぎ取った。「自信があった。1点を取るという気持ちが強かった」と話した。

 3回には先頭で左前打で出塁し、盗塁も決めて相手を揺さぶった。2安打1得点、1盗塁に「自分が塁に出ることが、甲子園の勝利につながると思う。役目は果たせたと思います」と充実の表情だった。加藤慶二監督は田中へのサインはグリーンライト(選手判断)だと明かし、「(存在は)大きいですね。足のある選手ですし、積極性がある。いい流れをつくってくれたなと思います」と称えた。

 田中の父・茂さんは最高峰のSG4回をはじめ、GIを7回など通算49回の優勝を誇る飯塚オートレース所属の現役オートレーサー。小学校の頃は田中にノックを打った経験もある。この日はアルプス席から観戦し、前日に「頑張れよ。見に行くけー、楽しんでこい」という激励のLINEを送ったことを明かした。田中は「お父さんは勝負強い人なので、自分も受け継がれたのかなと思います。いい恩返しというか、いいところを見せられて良かったと思います」と喜んだ。

 チームは8回1死二、三塁で井坂陸翔(3年)の三ゴロの間に三走の平尾幸志郎(3年)が隙を突いて生還して追加点を挙げるなど、「足」が大きなポイントになった。昨夏の16強超えがこの春の目標。次戦は広陵(広島)とぶつかる。田中は「海星の僅差で守り勝つ野球をしたいと思います」と意気込んだ。父のようなスピードスターぶりを、もっともっと甲子園で見せる。(杉浦 友樹)

 ◇田中 朔太郎(たなか・さくたろう)2006年(平18)5月10日生まれ、福岡県北九州市出身の16歳。小1で永犬丸レッドライオンズでソフトボールを始める。中学時代は八幡南ボーイズでプレーし全国8強。海星では昨夏の長崎大会に背番号20でベンチ入り。1メートル68、66キロ。右投げ右打ち。

 ○…長崎勢と兵庫勢の対戦は春夏通算6勝3敗と兵庫がリードしていたが、選抜はこの試合前まで長崎が3勝1敗。両県の対戦は16年春1回戦で海星(長崎)が長田(兵庫)を3―2で下して以来、7年ぶりの対戦だったが相性を生かして長崎勢が4勝目をつかんだ。16年の海星はその後、選抜では同校最高のベスト8まで勝ち進んだ。夏は兵庫勢が5戦全勝している。

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