ボールボーイから見た中京大中京の畔柳 夏に雪辱を誓う専大松戸・平田未来

[ 2021年4月14日 09:00 ]

聖地でボールボーイを務めた平田(奥)
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 第93回選抜高校野球大会は東海大相模(神奈川)の10年ぶり3度目の優勝で閉幕した。センバツ初出場の専大松戸(千葉)は1回戦で中京大中京(愛知)に0―2で敗戦。エースの深沢鳳介(3年)は7回に決勝のランニング2ランを許したが、大会屈指の右腕・畔柳亨丞(3年)に一歩も引かない好投を見せた。熱戦の試合前、甲子園球場の記者席にいた私はある選手の名前を探していた。

 専大松戸の平田未来。彼の名前はスタメン、ベンチメンバーになかった。強打の三塁手は昨秋に4強入りした関東大会で唯一、一般クラスからベンチ入りした偏差値70越えの秀才。文武両道の3年生はチームのムードメーカーで、同部の森岡健太郎部長は「声や取り組みでチームを鼓舞する存在」と評価。センバツ出場決定後の2月は「夢だった。実感が湧いて興奮している。打って守って貢献したい」と燃えていた。

 どうしてベンチ入りできなかったのか。記者はベンチ外の選手がいるアルプススタンドに走った。そこに平田の姿はなかったが、マネジャーが理由を説明してくれた。大会直前の2月下旬、ノック中に右手中指に打球が当たり骨折。聖地でのプレーを諦めるしかなかった。だが、甲子園のグラウンドには立った。試合の2日前にボールボーイを務めることが決まっていた。

 最速151キロ右腕の畔柳は凄かった。今秋のドラフト候補で不動の4番・吉岡道泰(3年)も直球で三振を喫するなど無安打。チームは12三振を奪われて完封を許した。平田はベンチ横で右腕の投球を目に焼き付けた。

 「今まで見てきた中で一番速くて良いピッチャーだった。自分がそこ(打席)に立てなくて悔しかった」

 機敏な動作でボールボーイとしての仕事を全う。敗戦後、号泣するチームメートもいる中で決意した。「今まで以上に夏(の甲子園に)出たいという気持ちが強くなった。次はレギュラーを取る」

 14日は18歳の誕生日。最高の投手を残像にバットを振り込んでいるだろう。あの場所へ戻るために。(記者コラム・柳内 遼平)

 ◆平田 未来(ひらた・みらい)2003年(平15)4月14日生まれ、千葉県浦安市出身の18歳。小1で野球を始める。富岡中時は硬式の佐倉シニアでプレー。専大松戸では2年秋にベンチ入り。1メートル75、75キロ。右投げ右打ち。

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