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【旅ヂカラ漫遊記】4000年前で時が止まった巨木 三瓶小豆原埋没林公園

[ 2017年8月9日 12:00 ]

埋没林公園の展示棟内にそそり立つ埋没林。その迫力に圧倒される
Photo By スポニチ

 世界遺産が国内に次々と誕生する中、今年登録10周年を迎えた島根県の石見銀山を訪ねたが、近くで“驚異の森”に出合った。同じ大田(おおだ)市にある三瓶(さんべ)小豆原埋没林公園。火山の噴火で地中に埋もれた4000年前の森が発掘状態で展示されているのだ。石見銀山も発見されたのは約500年前。一帯からは自然の鼓動が聞こえてくるようだった。

 山陰本線大田市駅から車で20分。「…埋没林公園」の名に人ごとではない気がして受付を通ったが、発掘保存展示棟に足を踏み入れた途端、そんな思いは吹き飛んだ。眼下に広がる巨木の数々。せき立てられるように深さ13・5メートルの地下への階段を下りると、今度は眼前に巨木がそそり立つ。7本中、最も高い木が12・5メートル、最も太い木が直径2・5メートル。根元には流木とみられる木々が横たわり、圧倒的な迫力だ。

 「埋没林の発見は昭和58年の水田の整備工事で地中に直立する巨木が出現したのがきっかけ。4000年前、三瓶山の噴火で発生した土石流が巨木林に流れ込み堆積。生育時のまま残ったといわれます」と学芸員の中村唯史さん。棟外に眠るものを入れると埋没林は約30本。長い幹を残すのは世界でも珍しいという。

 4000年前といえば縄文時代。当時、埋没林は高さ50メートルあったとされ、縄文人はその姿を見てどう感じ、どう関わったのか。まさに太古のロマンといえるだろう。

 それから3500年。戦国時代の1527年に発見され、安土桃山時代から江戸初期の最盛期には世界の銀産出量の3分の1近くを産出したという石見銀山にも圧巻の光景が広がっていた。

 600余の坑道の中で、初代奉行の大久保長安がやりを持ち馬で乗り入れたという伝説が残る最大級の大久保間歩(まぶ=坑道、全長900メートル)を見学したが、高さ最長5メートルの坑道内は気温10度の天然クーラー。ライトを照らすと岩盤のあちこちに裂け目が見え、銀鉱脈の採掘場跡につながる。

 その最大のものが入り口から160メートルだった公開範囲を世界遺産登録10周年を機に15メートル延長して見学可能になった「福石場」。高純度の銀が掘られたという高さ、幅とも20メートルの坑内最大の地下空間で、隅々までライトは届かない。「真っ暗な中、江戸期はノミで、明治期は火薬で穴を開け掘り進んだ」(ガイドの安立聖さん)というが、その姿を想像するとしばらく動くことができなかった。

 《聖母降臨の地?乙女峠に縁結び電話ボックス》世界遺産の次は「津和野今昔〜百景図を歩く」が日本遺産に認められた“山陰の小京都”津和野町へ。百景図とは栗本格斎が幕末の津和野藩の様子を描いた「津和野百景図」のこと。その中の景色のうち現在も50以上の風景を見ることができ、町内の日本遺産センターでは同風景を中心にしたコンシェルジュのまち歩きガイドを行っている。その一つに参加。23図「殿町」や27図「永明寺(ようめいじ)坂」、28図「覚王山永明寺」などを歩いたが、印象的だったのは百景図にはない乙女峠の「マリア聖堂」。明治初期に弾圧を受けたキリシタン殉教者を追悼するため1947年(昭22)に建てられ、聖母マリアが降臨したともいわれる聖地だ。敷地内には受話器が2つで一緒に受話器を取った男女は結ばれるという不思議な電話ボックスもあるが、これも聖母マリアのおかげ?

 《肉厚でジューシー、名物鴨島はまぐり》雄大な日本海の波際に立つ荒磯温泉「荒磯館」=(電)0856(27)0811=の海鮮バーベキュープラン(1泊2食1万5000円から、9月末まで)で名物鴨島はまぐりを味わった。清流・高津川と日本海が交わる海域のみに棲息し、ミネラル分をたっぷり含んだ汽水(淡水と海水の混合水)で育つため体長約9センチと大型。肉厚でも軟らかくジューシーだ。

 《「空港はちみつ」5人に》アジア初の空港(萩・石見空港)内養蜂場で作られる「空港はちみつ」(130グラム、税込み1000円)を5人にプレゼント。はがきに住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記し、〒135―8517、東京都江東区越中島2の1の30、スポーツニッポン新聞社文化社会部「旅ヂカラプレゼント・島根」係へ。8月16日の消印まで有効。発送をもって発表に代えます。

 ▽行かれる方へ 埋没林公園入館料300円。石見銀山は大田市駅から車で20分。大久保間歩ツアーは4000円(2時間半)。問い合わせは大田市観光協会=(電)0854(88)9950、津和野町日本遺産センター=(電)0856(72)1901。

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