是永瞳 コロナ禍休業の人間観察で演技力向上 「これまでより手応えがあります」

[ 2023年2月22日 09:00 ]

笑顔を見せる是永瞳
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 【牧 元一の孤人焦点】テレビ朝日のドラマ「リエゾン─こどものこころ診断所─」(金曜後11・15)にレギュラー出演する俳優の是永瞳(27)が「これまでより手応えがあります」と、役者としての思いを明かした。

 出演しているのは、雑誌「モーニング」で連載中の漫画が原作の医療ドラマ。児童精神科の院長・佐山卓役が山崎育三郎、研修医・遠野志保役が松本穂香、臨床心理士・向山和樹役が栗山千明。是永は、シングルマザーで産休後に職場復帰した受付担当・市川渚役だ。

 「原作を読んだ時、渚は能天気っぽい女性だと思ったんですけど、監督やスタッフさんから聞いた設定には奥深いものがありました。生きるのに必死で、いろんな職業を経験して、苦労人でありながら破天荒な面もある女性なので、作り込んで表現するのが難しいと思いました」

 渚は産休明けに職場復帰。生後4カ月の息子・賢を溺愛している。

 「私には子供がいないので、どうしようと思って、8歳上の姉に電話して子育てのことを聞きました。『憎たらしい時もあって怒ったりけんかしたりもするけれど、自分の命よりも重い、かけ替えのない存在』という話でしたが、自分からかけ離れた存在なので、寄せるのが大変でした」

 芸能界入りのきっかけは2016年の「第1回ミス美しい20代コンテスト」グランプリ。芸能事務所「オスカープロモーション」に入り、17年にドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」に秘書役でレギュラー出演し、役者デビューを果たした。

 「身長(173センチ)も高いので、自分ではモデルの道を進むのだろうと思っていたんですけど、ありがたいことに、こちらの道で育ててもらって今があります」

 18年にドラマ「ハゲタカ」、19年にドラマ「僕の初恋をキミに捧ぐ」、20年にドラマ「アリバイ崩し承ります」にそれぞれレギュラー出演し、順調にキャリアを重ねていたが、コロナ禍の影響もあり、壁にぶち当たった。

 「20年から演技のお仕事がなくなりました。外出もできずに、ひたすら家にいて、好きな料理の技を極めていたんですけど、メンタルが大変で、実家に帰って、家族に支えられました。地元に帰った時、いろんな人を注意深く見られるようになったんです。働いている人たちはどんな表情をしているのかとか、電車の中で疲れ切っている人はどんな姿勢をしているのかとか、カフェにいる人たちはどう過ごしているのかとか…。それが一周回って今の私につながっている気がします」

 3年ぶりのドラマ出演となった「リエゾン」の撮影現場では自身の芝居の変化を実感することができた。

 「相手の役者さんに集中できるようになりました。以前は、雰囲気に飲まれたり、演じている自分を客観的に見られるのが恥ずかしかったりしたんですけど、それが今回は全くありませんでした。自分が作り込んだお芝居を相手にぶつけることができました」

 とはいえ、ここはまだ役者としての通過点だ。

 「『目が生きている女優さん』になりたいです。相手の役者さんの目をしっかり見て、相手の思っていること、感じていることをしっかり受け止めて、そこから生まれる自分の感情をしっかり目で表現したい。このドラマでもそれを意識して演じたので、そこをぜひご覧いただきたいと思います」

 きらきら輝く目でそう話した。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2023年2月22日のニュース