古舘伊知郎 “むとう”610文字 自作の詩で思い伝えた 「さよなら、ムーンサルト!」

[ 2023年2月22日 05:15 ]

武藤敬司引退大会 ( 2023年2月21日    東京ドーム )

<武藤敬司引退大会>古舘伊知郎さんが詩を朗読(撮影・篠原岳夫)
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 プロレスの実況で知られるフリーアナウンサーの古舘伊知郎(68)がノアのマットに初めて上がり、武藤に自作の詩をささげた。天才レスラーの姓にちなんで「610」文字に思いを込めた。

 山梨県富士吉田市に生まれし、一人のおのこ。入門から半年余りで、あの月面の奥義を身につけて、気がつけばアメリカマット界を席巻していた。

 一体、プロレスラブとはなんなのか!この男に二元論は通用しない。ストロングスタイルかアメリカンプロレスか。ベビーフェースかヒールか。はたまたプロレスか格闘技か。全く通用しない。思えば昭和、平成、令和。時代は移ろっても、技、試合のありよう、観客の声援スタイルが変わろうとも、一貫してこの男は二者択一を超えて、格闘芸術をつくってきた。

 作品を作るとき必ず削られていく。両の膝に人工関節を埋め込んでたどってきた、いばら道。邪心は削られたのか。団体を渡り歩き、まばゆいスポットライトを浴びながら、常に志半ばで逝った橋本を思い、プロレスに殉職した三沢を抱き、昨年亡くなった猪木を仰ぎ見ながら戦ってきた。もう限界なんて、とっくに過ぎていた。しかし限界を超えてもなお輝き続けた夢物語。そろそろ今夜がお開きか。
 
 そうこれ、昭和プロレスの終焉(しゅうえん)なり。さあ、ザ・ファイナルカウントダウン。武藤、この610文字に愛を込めて、今積年の思いを込めて、さよなら、ムーンサルト!

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