松本若菜 妖艶さを指先の動きで表現 ドラマ「探偵ロマンス」で秘密倶楽部女主人役

[ 2023年1月18日 07:53 ]

ドラマ「探偵ロマンス」で蓬蘭美摩子を演じる松本若菜(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】俳優の松本若菜(38)が21日にスタートするNHKのドラマ「探偵ロマンス」(土曜後10・00、全4話)に会員制秘密倶楽部の女主人役で出演する。昨年、フジテレビ「やんごとなき一族」やテレビ東京「復讐の未亡人」で視聴者に強烈な印象を与えただけに、新たに演じる個性的な役柄への注目度は高い。

 「探偵ロマンス」は新進気鋭の脚本家・坪田文さんが書き下ろすエンターテインメント活劇。作家デビュー100年の江戸川乱歩の知られざる誕生秘話で、のちに乱歩となる平井太郎(濱田岳)が初老の名探偵・白井三郎(草刈正雄)と出会い、世間を騒がす難事件に巻き込まれる。会員制秘密倶楽部「赤の部屋」の女主人・蓬蘭美摩子(松本若菜)は貿易商や画商、官僚など、特権階級の人々を相手にしながら、ある目的のために働いている。

 インタビューに応じた松本は「秘密倶楽部で、しかも名前が『赤い部屋』なので、どんな妖しいところなんだろうと想像しました。クランクインしたら、私が勝手に想像していたものより豪華なセットが作られていて、中に入ると、妖しくて、隠し扉もありました。私はここの女主人なんだと思って、気持ちが高まりました」と振り返る。

 美摩子は「妖艶な女性」という設定。服装は当時の流行の最先端を走っていて、倶楽部ではチャイナドレスなどを着用している。

 松本は「私が感じる妖艶さを表現したいと思いました。気を使ったのは指先の動きで、お酒をつぐ時や腕を組む時に繊細な動きを意識しました。美摩子にとって衣装はいろんな情報を手に入れるための戦闘服のような感じ。チャイナドレスは両側にスリットが入っていて、ちょっと動くと、すそがひらっとします。衣装マジックで、女性らしい色気が出ていると思います」と話す。

 美摩子は一筋縄ではいかない人物で、倶楽部で客に見せる顔とは違う一面を持っている。

 「一言では表せない人です。坪田文さんが考えた美摩子像に近づきたくて、現場で坪田さんに『どうしたらいいですか?』とご相談させていただきましたが、坪田さんの答えは『この役はクエッションのままでいいと思います。今の松本さんのように、どうしたらいいか悩んでいる女性なので、そのままでいいです』でした。その言葉がとても腑に落ちました。坪田さんの脚本は繊細で、シンプルな言葉の中にも大きな悲しみや野望が含まれています」

 この作品では役者・松本若菜の新たな魅力も楽しめる。

 「終盤に『美摩子が華麗に登場』と脚本に書かれたシーンがあります。それはアクションシーンで、華麗とはこういうことなんだ!?と度肝を抜くような登場の仕方をします。ドラマの中で私のアクションが何回かあって、ワイヤーを使ったりもしました。私はもともと運動音痴で、高いところも苦手なんですけど、映像をチェックしたら、めちゃくちゃ格好良かったです。関わっている人たち全員の息が合っていないとできないことなんですけど、自信を持って、見ていただきたいと思います。女優人生の中で実りの多い現場でした」

 昨年は「松本劇場」と話題になり、活躍の場を広げたが、今後はさらにアクションの仕事が加わるかもしれない。

 「困ったな(笑)。まずは体力をつけないと…」。妖艶な美摩子とはまた違うキュートな笑顔を見せた。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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