若狭勝弁護士 誤入金問題で容疑者不起訴の可能性は「被害感情和らぎ刑が軽くなる傾向もある」

[ 2022年5月26日 14:46 ]

弁護士の若狭勝氏
Photo By スポニチ

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士(65)が26日、TBS系「ひるおび」(月~金曜前10・25)に生出演し、山口県阿武町の誤入金問題で、田口翔容疑者(24)が不起訴になる可能性について言及した。

 田口容疑者の逮捕容疑は、誤って入金された金をATMやパソコンなどで不正に使用した電子計算機使用詐欺の疑い。調べに対し、「金はネットカジノですべて使った」と供述している。ネットカジノの決済代行業者3社の口座には、合わせて約4300万円が出金されたが、金は今月20日、3社によって全額が返還されている。返還の理由については明らかになっていないが、田口容疑者の指示、業者の自主的判断などの可能性が指摘されている。

 詐欺罪は財産犯という大きなくくりに当てはまるといい、若狭氏は「財産犯の場合、被害者の気持ちというのが大事なんです」と解説。「阿武町が仮にお金が9割がた戻って来ているということで、被害感情という気持ちがトーンダウンするというのは、一般的にはある。そうすると、被害感情が和らいだことで刑の重さが軽くなっていくという傾向はあると思う」と見解を示した。

 被害額が大幅に減ったことに加え、事件の発端が町の入金手続きミスだったことも影響する可能性があるという。若狭氏は「町が“(金が)戻ってきたから、これ以上騒ぎになるのは嫌だ”と。自戒の念も込めて、職員にも負担かけるし、精神的に苦痛を与えてしまった。一刻も早く終わらせたいと(考える可能性もある)」とし、「町の選択として“ありがとうございました。起訴しなくても結構ですよ”と強く言う場合もある」と、不起訴の可能性に言及した。

 誤入金された4630万円のうち、既に9割以上が町の口座に戻っている。若狭氏は「起訴前に被害額が全部返された場合、弁償された場合は、初犯に限って言うと不起訴になる可能性が高くなる」と解説した。

 一方で、前大津市長で弁護士の越直美氏は、田口容疑者の口座からデビット決済で使われ、未回収の340万円に着目。「9割が返ってきているとはいえ、340万円は大金なので、私であれば自治体として責任ある対応をすると。不起訴というふうに持って行かないで、むしろ起訴して下さいと(要請する)」と、意見が分かれた。

続きを表示

2022年5月26日のニュース