「10年越しの夢」「甲子園で会おうね」――市立西宮高でプラカードガール合格発表

[ 2022年7月20日 15:05 ]

プラカードガールに選ばれた(右から)井上優さん、伊藤風彩さん、新夏綺さん、大庭英里香さん、矢野恵理さん(20日、市立西宮高小講堂)
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 第104回全国高校野球選手権大会開会式(8月6日・甲子園球場)で出場校のプラカードを持つ市立西宮高女子生徒の選考結果発表が20日、兵庫県西宮市の同校であり、69人の「式典誘導係」が決まった。15日に行った選考会で代表校・前年度優勝校50人、国旗・大会旗11人、組み合わせ抽選会4人、さらに補欠4人を選んだ。

 野球部マネジャーの井上優さん(2年)は小学校1年時、父に連れられてみた夏の甲子園大会開会式の感動が忘れられなかった。「甲子園に出たいと思いましたが、女子ではかないません。その時、父にプラカードを持つのはイチニシ(市立西宮高)の生徒だと聞き、ずっと目指していました」。7歳のころから見ていた10年越しの夢を実現させた。

 野球をプレーするのも好きで、中学時代はソフトボール部。市立西宮高にはソフトボール部はなく「野球のそばにいたかった。甲子園に出られるかもしれない」とマネジャーとして野球部に入部した。

 合格発表後、グラウンドで練習に参加すると、野球部のメンバーが「おめでとう」と祝ってくれた。今夏は兵庫大会初戦で敗れ、新チームが始動している。

 自治会本部役員の4人も合格に笑顔を浮かべた。自治会長の矢野恵理さん(2年)は「姉がイチニシ生でしたが(プラカードガールは)不合格でした。“恵理がんばってね”と励まされていたので、この合格は姉も喜んでくれると思います」と話した。

 伊藤風彩さん(2年)、新夏綺さん(2年)は中学時代の同級生が履正社、天理、敦賀気比……ら野球強豪高に進み、「甲子園で会おうね」との約束があった。「本当に会えるかも」と胸を膨らませた。

 大庭英里香さん(2年)は当初、別の高校への進学を考えていた。「でも、野球がすごく好きな父を喜ばせようと思って」と市立西宮高に進学。今回の合格で「大喜びしそう」と話していた。

 選考や行進の指導を担当して25年になる青石尚子教諭(53)は「今回選ばれなかった生徒もいる。一昨年はコロナ禍で大会もできなかった。そんな悲しく、悔しい思いも背負って、責任をもった行動をしてください」と訓示した。

 一般にプラカードガール、プラカード嬢などと呼ばれるが、正式には「式典誘導係」。1949(昭和24)年の第31回大会から同校の女子生徒が務めている。    (内田 雅也) 

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