阪神・ウィルカーソン 5回2/3無失点で6戦ぶり5勝 めった打ちの日々から学んだ高め直球で打者手玉

[ 2022年7月20日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神3-0広島 ( 2022年7月19日    マツダ )

<広・神>6回2死一塁、降板となり、梅野(右)とグータッチをかわすウィルカーソン(撮影・坂田 高浩)
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 ヒヤッとするボールでアウトを取れる。阪神・ウィルカーソンの調子がいい証拠だ。1点優勢の2回無死一、二塁。小園を真ん中付近のチェンジアップで中飛、会沢を143キロ真ん中高めの直球で空振り三振で抑えた。床田も三振で最大のピンチを乗り切り、5回2/3を5安打無失点で抑えた。

 「うまく全球種を交ぜることができた。真っすぐの球速をもう少し出したいが、効果的な球種になるには十分なスピードだった」

 140キロ台半ばの直球を、一歩間違えば危険な高めに、あえて投げ込む。同じ軌道から落ちるチェンジアップとの緩急が、最大の武器だ。米マイナーの2A時代、直球は低めを基本線にしていた。しかし、その球では変化球を生かしきれず「試合でかなり打ち込まれたんだ」。以後、セオリーに縛られず高めの直球を磨き、チェンジアップとの2種類を軸にして17年にメジャー昇格をし、その年に唯一の白星も手にした。

 近年、データ野球の進化で、米国では回転数が多い直球は、高めが有効だとされている。「僕はデータを気にしない」と無頓着な右腕の直球の平均回転数は、米大リーグ公式サイトによれば、ブルワーズ時代の19年が2350。同年のメジャー平均2287より少し高い程度で驚く数値ではない。それでも抑えられるのは、めった打ちの日々から学んだ「大事なのは、変化球をどこで使うか」という投球術があるからだ。

 高温多湿の日本の気候に苦しみ直近5試合は不本意な投球が続いたが、5月27日ロッテ戦以来の5勝目。チームを、5敗1分けだった鬼門・マツダの今季初勝利に導いた。これで乗っていける。(倉世古 洋平)

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2022年7月20日のニュース