ブラスバンドでかなえた甲子園の夢 中学時代は野球部に所属した浦和学院吹奏楽部・武笠翼さん

[ 2022年3月30日 20:07 ]

第94回選抜高校野球大会第10日第1試合 準決勝   浦和学院2―5近江 ( 2022年3月30日    甲子園 )

振り付けのある曲を演奏する武笠さん(撮影・柳内 遼平)
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 第94回選抜高校野球大会第10日は30日、阪神甲子園球場で準決勝が行われた。第1試合では、浦和学院(埼玉)が延長11回の激闘の末、2―5で近江(滋賀)にサヨナラ負けし、9年ぶりの決勝進出はならなかった。

 気温20度を記録した春空の甲子園。一塁側アルプス席でホルンを担当する浦和学院・吹奏楽部の武笠翼さん(3年)は顔を真っ赤にして音色を響かせた。試合は延長11回の長丁場になったが「中学時代に野球部で鍛えた体力に自信があります」とへっちゃらだった。

 吹奏楽部に所属した経験がある母・真紀さんの影響で、幼少期からエレクトーンやトランペットを習ってきた。転機は2013年のセンバツ。地元・埼玉の浦和学院が日本一に輝き、テレビ観戦していた当時小学生の武笠さんは「浦学に入りたいと思うようになった」と野球の道を志した。
 
 中学入学を機に野球を始め、3年夏には「9番・右翼」のレギュラーをつかんだ。満を持して進学した浦和学院では野球部のマネジャーを志望するも、それまでにマネジャーは女子しかいなかったために断念。だが、「野球より音楽の方が自信がある。他の形で野球部の力になろう」と吹奏楽部で甲子園の夢を追うことにした。

 入部後に担当したホルンは初めて吹く楽器だった。最初は1つの音も思い通りに鳴らない。プロが奏でる音源を何度も何度も繰り返し聞いて理想の音を耳に残した。綺麗な音色になるまで約1年かかったが、3年ぶりの演奏応援が許された今センバツに間に合った。
 
 浦和学院は11回で力尽きてサヨナラ負け。近江との熱戦を目に焼き付けた武笠さんは「めっちゃ楽しかった。甲子園で演奏できて野球人としてもうれしい。また、夏に戻ってこれるように野球部に頑張ってほしいです」とやりきった表情で語った。(柳内 遼平)

▼浦和学院吹奏楽部 顧問・林真琴さん(今大会で初めて球場応援を経験した新2、3年生に)大会関係者の方々のご尽力で、甲子園で応援できる機会をいただけました。球場応援に慣れていなかった生徒たちも、試合を重ねるごとに集中力が増していました。最後の方は守備の時も集中して見守っていたので、これから野球応援を好きになってもらえばと思います。  

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2022年3月30日のニュース