センバツ残り3試合“野球の華”本塁打が命運を分ける

[ 2022年3月30日 05:30 ]

<市和歌山・大阪桐蔭>6回無死、大阪桐蔭・伊藤はソロ本塁打を放つ(投手は市和歌山・米田)(撮影・坂田 高浩)
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 【秋村誠人の聖地誠論】スタンドに観客が戻り、アルプス席にもブラスバンドが帰ってきた甲子園。浜風に乗って、また浜風に逆らって伸びる打球に、スタンドが沸き返る。それも“甲子園の日常”と言っていいだろう。

 金属バットが採用されて以降、最少となるかと思われた大会本塁打数が準々決勝が行われた28日に一気に2桁に達した。コロナ下での実戦不足が本塁打減少の要因と指摘する声がある一方、着実に捉えて振り切ればスタンドまで届く。1試合チーム6本塁打の大会タイ記録の大阪桐蔭・西谷浩一監督は「本塁打を打てるチームではない。ビックリしている」と驚いていたが、どのアーチもしっかり振り抜いたものだった。

 今から90年も前のこと。1932年の第9回大会では、最も本塁打を打った選手に贈られる「ベーブ・ルース賞」が制定されていたという記録が残っている。この賞を喜んだルースから祝電が寄せられたそうで、日本の野球熱に感心し、感謝とともに日本の若い選手への期待を伝える内容だったという。それから80年後の12年センバツ、花巻東(岩手)の大谷翔平(現エンゼルス)が大阪桐蔭との1回戦で豪快な本塁打を放った。そして、はるか昔のルースの期待に応えるかのように大谷は今、二刀流で「野球の神様」超えが注目されている。それは、甲子園の本塁打でつながる不思議な運命のような気がしてならない。

 センバツは残すところあと3試合。準決勝2試合はともに関東勢VS関西勢となった。いずれも投打にバランスが取れた4校。一気に出始めた本塁打をいかに阻止するか、そしていかに打つかが勝敗を分けるのではないだろうか。「野球の華」と言われる本塁打に、ラスト3試合は注目してみたい。(専門委員)

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2022年3月30日のニュース