【内田雅也の追球】焦点の「ルージー」 好投の青柳に代え、ワンポイントで岩貞投入の阪神継投

[ 2020年10月22日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神2-0広島 ( 2020年10月21日    甲子園 )

<神・広(22)> 6回途中、2番手で登板した岩貞 (撮影・後藤 大輝)
Photo By スポニチ

 「ルージー」はアメリカの野球用語で「LOOGY」とつづる。「Left―handed One Out GuY」の頭文字をとっている。直訳すれば「左投げの1死を取るヤツ」。つまり、左のワンポイントリリーフである。

 大リーグでは今季からこのルージーが禁止となった。投手は少なくとも打者3人と対戦するか、イニング終了までの登板が義務づけられた。目的は時間短縮で、イニング途中での投手交代を少なくしようというわけだ。

 ただし、2死からならば、大リーグでもルージーの起用が可能だ。1人を打ち取ればイニング完了、交代できる。

 そう、この夜の阪神が見せた継投である。

 2点リードの6回表2死一塁で広島4番の左打者・松山竜平を迎え、青柳晃洋を代えて左腕・岩貞祐太を投入したのだ。

 青柳は初回先頭に浴びた1本だけで無失点と好投していた。投球数もまだ80球だった。

 監督・矢野燿大は「投手からすると、もっと投げたいという心情も分かっている」と思いやったうえでの決断だった。「一人出て得点圏に走者が進むと、後で行く投手が苦しくなる」。ピンチリリーフの危険を避けての早めの継投だった。

 もちろん、青柳が松山に今季5打数3安打(1本塁打)と苦手にしていたこともあろう。ただ、岩貞も松山に今季2打数2安打。データ以上に勝負勘が働いたようだ。

 矢野は「勝負なので逆に出ることもあるけど、自分の中で一番いいと思うことをやっていく」と迷いを吹っ切っていた。

 岩貞は期待に応え、スライダー、カッター、直球で3球三振に切ってお役御免となった。今季途中から救援に回った岩貞にとってワンポイントは初めての経験だろう。

 7回からは岩崎優、藤浪晋太郎、ロベルト・スアレスとつないで完封リレー。青柳に約2カ月ぶりの白星がついた。焦点はやはりルージーの成功にあったと言える。

 日本のプロ野球は規則改正で大リーグを追随してきた歴史がある。ルージーも禁止となるのならば、あまりにも寂しい。

 古くは左下手投げの永射保(西武)や清川栄治(広島)、阪神で言えば遠山奬志が「松井秀喜キラー」で名をはせた。左打者を料理する投球はプロの仕事、職人芸である。起用する監督も腕の見せどころ、ファンにとっても醍醐味(だいごみ)だろう。

 なお、右打者へのワンポイント起用も「ルージー」と呼ばれる。「ROOGY」で、日本人が苦手な「L」と「R」の発音の違いで聞き分けるのだろう。

 この夜、広島が8回裏2死でジェフリー・マルテを迎え、左腕・中村恭平から右腕・中田廉を起用、打ち取ったのは「R」の方のルージーだった。=敬称略=(編集委員)

続きを表示

「大谷翔平」特集記事

「始球式」特集記事

2020年10月22日のニュース