国学院久我山、春夏6度目待望1勝!秀才エース高下5失点も3打席連続適時打「うれしいのと、安堵感と」

[ 2019年8月9日 05:30 ]

第101回全国高校野球選手権大会 第3日1回戦   国学院久我山7―5前橋育英 ( 2019年8月8日    甲子園 )

喜びを爆発させながらアルプススタンドへ駆けていく国学院久我山ナイン(撮影・木村 揚輔)
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 悲願の初勝利という「難関」を突破した。1回戦4試合が行われ、28年ぶりの出場を果たした国学院久我山(西東京)は、前橋育英(群馬)に7―5と逆転で下した。エースで5番打者の高下耀介投手(3年)が決勝打を含む3安打3打点。投げては9回を5失点と本調子ではなかった秀才右腕がバットで結果を出し、春夏合計6度目の出場で甲子園初白星を挙げる立役者となった。

 聖地に響いた初めての勝ち名乗りの校歌。1メートル88の長身に穏やかな笑みを浮かべた高下は、ナインとともに高らかに歌い上げた。

 「一緒に歌ってくれる数も違うので、気持ちよかった。素直にうれしいのと、安堵(あんど)感と両方ある。期待に応えられて本当にホッとしています」

 悲願の初勝利へ導いたのは秀才エースのバットだった。6回の第3打席から、3打席連続適時打。投球では9安打5失点(自責3)と苦しんだが、5番打者として気を吐いた。

 ハイライトは2点を追う7回だ。2死無走者から3連打で同点とし、なお2死二塁。「ピッチャー心理的に、気が緩むかなと思った」と初球の甘いカットボールを中前に運んだ。西東京大会は打率・190で1打点。「チャンスも多いのに凡打が多くて迷惑を掛けた」と雪辱を期し、逆転5連打の中心になった。

 学校では成績優秀者の「優組」に所属。難関私立大進学を目指している。得意科目は英語。西宮市内の宿舎にも勉強道具を持参した。「8月は夏期講習を受ける予定だったけど、前半はキャンセル。うれしい悲鳴です」。スタンドで声援を送った母雅代さん(55)は苦笑いだったが、コツコツと努力を重ねるエースが創部75年目、春夏6度目の出場で悲願の初勝利を演出した。

 三塁アルプスを埋めた約2800人の大応援団も困難を乗り越えた。東京から0泊3日のバスツアー。21台のうちブラスバンド、応援リーダーのバスが事故渋滞に遭遇。到着は試合開始約20分前。前橋育英とのエール交換の辞退を余儀なくされたが、初の歓喜の瞬間を分かち合った。

 ロッテ・井口監督らOBが阻まれた壁を越えた。「勉強はどんどん先になりますね。でもまずは野球をやりきりたい」。もちろん次は投球で。高下が2勝目の難関も突破する。(春川 英樹)

 ◆高下 耀介(たかした・ようすけ)2001年(平13)9月7日生まれ、東京都出身の17歳。小1から野球を始め、中学では神奈川の「麻生ボーイズ」に所属。国学院久我山では1年秋からベンチ入り。2年秋から背番号1を背負う。球種は直球、スライダー、カーブ、スプリット。1メートル88、86キロ。右投げ右打ち。

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