【令和新時代 夏のメモリー】前橋育英・中村“元年の夏”出場 父を「超えたかった」

[ 2019年8月9日 08:00 ]

第101回全国高校野球選手権大会 第3日1回戦   前橋育英5-7国学院久我山 ( 2019年8月8日    甲子園 )

2回1死、右前打を放つ前橋育英・中村(撮影・後藤 大輝)   
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 夢の時間はあっという間に過ぎた。父と子の甲子園。30年の時を超えて実現した2時間10分の“元年の夏”だった。

 「ここに来られたのは良かった。でも、もっと上に行きたかった。(父を)超えたかった」

 前橋育英の7番・中村太陽の目から、大粒の涙がこぼれた。5―7。悔しい逆転負け。同点の6回に堅い守備を誇った遊撃で自らのエラーから失点し、悪い流れを変えられなかった。「自分のエラーで流れを悪くしてしまった」。いつまでも涙は止まらなかった。

 中村の父・雅士さん(47)は平成元年の夏、東農大二の投手として甲子園に出場。1回戦では日向(宮崎)に勝ち、2回戦で智弁学園(奈良)に敗戦。父は2試合ともリリーフ登板した。あの夏から30年。元号が変わったこの夏、甲子園が父と子を導いてくれた。「同じ元年にね。巡り合わせというのか、本当に夢みたいな話です」。雅士さんはそう言った。

 小、中学校時代、ずっと父から野球を教えてもらった。「投手が打ち取った打球は確実にアウトにしろ」。そんな教え通り、3回に難しい遊ゴロを軽快にさばいて併殺を完成。2回は右前へ落ちるヒットも放った。父が甲子園で打てなかったヒットだ。目を真っ赤にした中村は、最後に「(父には)“野球を教えてくれてありがとう”と言いたい」と話した。熱い甲子園の夏。30年前と同じ浜風が吹いていた。(秋村 誠人)

 《叔父の広島・高山スカウト ネット裏で感慨深げ》ネット裏では中村の父・雅士さんと東農大二の同級生で、ともに平成元年の甲子園に出場した広島・高山健一スカウトも試合を見つめた。実は高山スカウトは中村の母・久美子さんの弟。中村にとって叔父にあたる。「小さい頃から野球を教えてきた。努力家だったから(甲子園でプレーできて)うれしい」と高山スカウト。30年前の甲子園で東農大二に敗れた日向の2年生エースだった巨人・織田淳哉スカウトも、ネット裏で不思議な縁に感慨深げだった。

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