東邦・石川、甲子園初アーチ 投げても6回零封「うれしいしかない」

[ 2019年3月31日 05:30 ]

第91回選抜高校野球大会第8日 2回戦   東邦12―2広陵 ( 2019年3月30日    甲子園 )

<広陵・東邦>3回無死、広陵先発の河野からソロ本塁打を放つ石川(撮影・井垣 忠夫)
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 2回戦3試合が行われ、8強が出そろった。平成の初代王者・東邦(愛知)は、プロ注目のスラッガー・石川昂弥投手(3年)が3回に高校通算43号となる甲子園初アーチ。投げても6回4安打無失点の好投で、広陵(広島)との優勝候補対決を制し、14年ぶりベスト8に進出した。明石商(兵庫)も中森俊介投手(2年)が投打で活躍し、昨春準優勝の智弁和歌山は雨中戦を制した。

 曇り空を舞った白球は長い滞空時間を経て、左翼席へと舞い降りた。2―0の3回、先頭・石川が高めに浮いたスライダーをとらえた。その放物線は長距離打者としての資質を存分に示した。「興奮状態で歓声も聞こえなかった。うれしいしかない」。高校通算43号となる聖地初アーチ。普段よりもゆっくりとベースを一周し、感触を存分に味わった。

 走攻守でチームを引っ張った。「どんどん動こうと思った」と初回に二盗を決めると、5番・吉納の右前打で先制のホームを踏んだ。打っては3回の本塁打を含む2安打2打点。最速144キロを誇る投手としても、先発で6回4安打無失点と勝利への流れを整えた。「初戦は硬かったが、今日は楽しむことができた。いつも通り、打って投げてができて良かった」と笑った。

 22日の開会式リハーサル後に大阪・渋谷高で行った練習。フリー打撃で左翼防球ネットを越え、体育館3階のガラス窓を粉砕する大飛球を放った。木製バットでの驚異の飛距離に、周囲から「130、いや140メートルくらい飛んだかもしれない」と証言する声が飛んだ。77年夏の準々決勝・熊本工戦で本塁打を放った森田泰弘監督も「それより飛んでいた」とあきれる。それ以降は安全確保のため、球場外に捕球係を配置するようになった。

 八戸学院光星との初戦で150キロをマークした河野を攻略。戦前からしのぎを削り、春優勝3度の広陵を16安打12得点の猛攻撃で撃破した。投打のかみ合った「平成最初の王者」が14年ぶり16度目の8強進出。石川の一撃で平成最後の春も、頂への視界が開けた。 (桜井 克也)

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