佐野日大・小泉 汚名返上の劇打「おいしいところを持ってっちゃって悪い」

[ 2014年3月29日 05:30 ]

<佐野日大・智弁学園>10回2死満塁、小泉は左前サヨナラ打を放ち、雄叫びを上げ一塁に向かう

第86回選抜高校野球大会2回戦 佐野日大5―4智弁学園

(3月28日 甲子園)
 2回戦3試合が行われた。第3試合では佐野日大(栃木)の小泉奎太(けいた)外野手(3年)が延長10回2死満塁から左前打を放ち、智弁学園(奈良)に5―4でサヨナラ勝ち。春は初めて8強入りを決めた。今秋のドラフト上位候補、田嶋大樹投手(3年)は8安打を許しながら2試合連続で完投した。また、沖縄尚学は6年ぶり、豊川(愛知)は初の準々決勝進出となった。

 仲間が自分めがけて全速力で駆け寄ってくる。これが、サヨナラか。小泉は次々とハイタッチし、抱き合いながら喜びをかみしめた。エース田嶋からは「ありがとう」と感謝された。「そんな、こちらこそ」と照れ笑い。「エラーをしたのに、おいしいところを持ってっちゃって悪いなあと思って。でも田嶋のために打とうと思っていたので、うれしかった」。

 この日3本目の安打がチームを、田嶋を救った。同点の10回。無死満塁から田嶋、柿沢が連続三振。好機が一転重圧のかかる状況に追い込まれ、両手の握りを指2本分短くした。ミートを心掛け、真ん中への直球を逆方向へ打ち返し、左前へ落とした。

 汚名返上の一打だった。4回の守備で右前打の処理にもたつき、打者走者を二塁まで進めた。今大会チーム初失策を記録し、同点に追いつかれるきっかけをつくった。落ち込んでベンチに帰り、田嶋に「ごめん」と謝ると「気にするな。バットで返せ」の激励が飛んできた。モヤモヤは吹っ飛んだ。直後の攻撃では1死二、三塁から一時、勝ち越しの左前適時打。踏ん張る左腕を援護した。

 高校入学時は投手だった。しかし、同期に田嶋らがいたこともあり、昨秋から野手に専念。当然、悔しさもあったが、投手のつらさも理解できた。田嶋とは寮で同部屋。故障で冬は満足に調整できなかったエースの姿に直面し、あえて言葉をかけないなど心遣いをみせた。

 副将も務める7番打者の殊勲打でセンバツでは初の8強入り。松本弘司監督は「いつも先頭に立ってやってくれている。よくぞ打った」と称えた。過去春夏9度の甲子園では、97年夏の8強が最高。「ベスト4に入って、歴史をつくる」と控えめに語る小泉の表情は自信がみなぎっていた。

 ◆小泉 奎太(こいずみ・けいた)1996年(平8)12月26日、群馬県生まれの17歳。小4から野球を始め、多々良中では投手で林市大会で優勝。佐野日大では2年秋からレギュラー。趣味はダーツ。好きな言葉は「人事を尽くして天命を待つ」。1メートル80、74キロ。左投げ左打ち。

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