藤井王将 深夜に決着、A級で糸谷八段に勝利し2勝1敗 「中盤にミス多い」と反省も“苦手”横歩取り打破

[ 2022年9月13日 00:29 ]

A級順位戦で糸谷哲郎八段と対局する藤井聡太王将(日本将棋連盟提供)
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 藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=が12日、地元・名古屋将棋対局場で、第81期名人戦A級順位戦の糸谷哲郎八段(33)との3回戦に臨み、午後11時41分、113手で勝利した。A級は9人が年度を通じて総当たりし、渡辺明名人(38)への挑戦権を争う。A級初参戦の藤井は、2勝0敗で唯一無敗の稲葉陽八段(34)を2勝1敗で追う展開になった。

 藤井の先手で対局は始まり、戦型は横歩取りへ進んだ。対局前までの通算成績278勝56敗の勝率・832を誇る藤井だが、横歩取りは先手で12勝7敗の・632、後手では0勝1敗。経験値も低く、比較的苦手な戦型と言えた。

 「1歩得の形で序盤を収めて駒組みできればと思ったが、その過程でいくつか妥協したかも知れません」

 具体的には1筋の歩を突き越し、一度は初形から移動した角を元に戻した。途中劣勢を自覚した局面もあったというが終盤、2枚飛車に角の大駒で迫った糸谷を金銀5枚の堅陣で受け止めて競り勝った。

 「ここまで中盤にミスが出る将棋が多い。次局から修正していけたら」

 1回戦で佐藤康光九段(52)に勝った藤井だが、菅井竜也八段(30)との2回戦ではそのエース戦法・中飛車に敗れた。今回、順位戦参戦6年目で初の連敗を回避したが、慢心はなかった。例年なら来年4月開幕予定の名人戦で渡辺から名人位を奪うと谷川浩司十七世名人(60)が持つ21歳2カ月の最年少名人記録を更新する最初で最後の挑戦者争いへ、本命が生き残った。

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2022年9月12日のニュース