斎藤隆氏 米ドラフトで獲るのは「戦力」でなく「財産」…日本との違いを実感

[ 2019年6月21日 08:30 ]

 【斎藤隆氏サミー・リポート】今月3日から3日間にわたって開催されたMLBドラフトに参加してきました。各球団40巡目まで指名する一大イベント。私がパドレスのフロントに入って4年目になりますが、毎年新しい発見があります。今年感じたのは、ドラフトで獲得する選手はチームの「財産」という考え方です。

 全体6番目の1巡目で指名したのは、CJ・エイブラムスという18歳の高校生遊撃手。私は、チームの強化ポイントである投手を指名すると予想していたので、驚きました。なぜなら、パドレスには今季デビューしたタティス・ジュニアという20歳の遊撃手がいます。カージナルスなどで活躍した父を持つ2世選手で、米球界が注目する逸材です。「どちらが将来の遊撃手か?」という気の早い論争も湧き起こっていますが、そのことは指名を回避する理由にはならないのです。

 指名する人数が少ない日本は、どうしても「戦力」という見方が強く、弱点を補うのがドラフトという考え方。しかし、MLBは、シンプルにいい選手を獲得し、大事に育てる。それがチームの「財産」となり、球団の価値を上げることにつながる。優秀な若手をたくさん持っていれば、いざ優勝争いという時にトレードで大物選手を獲得することもできます。

 現在、パドレスのマイナー組織は30球団中、1位にランク付けされています。その立役者で、スカウト部門の統括責任者だったドン・ウェルキ副社長が、昨年9月に75歳で亡くなりました。50年以上にわたり、いくつもの球団で数々の人材を輩出してきた名スカウトで、ドラフトの時は必ず赤いジャケットを着用するのがトレードマークでした。ウェルキさん不在のドラフト。パドレスのスタッフは彼の功績に敬意を表し、全員が赤のジャケットで臨みました。

 今年は、ブルージェイズが、かつてのエースで17年に40歳の若さで飛行機事故で死去したロイ・ハラデーさんの息子を、父の永久欠番と同じ「32」巡目で指名しました。大学進学が決まっており、入団の可能性がないことが分かっていて「1枠」を彼に使ったのです。MLBのドラフトはビジネスに徹するようにみられがちですが、温かみやリスペクトも感じられた3日間でした。(パドレス球団アドバイザー)

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