「まさかリードボーカルになるとは…」15周年を迎えるボーカロイド初音ミクの誕生秘話が明かされる

[ 2022年8月4日 20:03 ]

初音ミク
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 2日に放送されたBS-TBS「X年後の関係者たち あのムーブメントの舞台裏」(火曜後11・00)で今年15周年を迎えるボーカロイド・初音ミクの誕生秘話を“ボーカロイド生みの親”と言われているヤマハ株式会社の剣持秀紀氏(55)と初音ミクの開発責任者であるクリプトン・フューチャー・メディア株式会社の佐々木渉氏(42)が明かした。

 ボーカロイドとはヤマハが開発した歌声合成技術およびこの技術を応用したソフトウェア製品の総称。当初はバックコーラスやデモ曲用など音楽製作の補助として考えられていた。剣持氏は「まさかリードボーカルになるとは思っていなかった」と当時を回顧した。

 剣持氏と佐々木氏は最初に10個程度のボイスバンクと言われる様々な歌手を録音して、ボーカロイド化してみた。しかし、歌手からすると自分の歌を再現するソフトではなく機械的に歌うソフトだったため、自分の歌というのは違うという声があり、歌手本人から自分の名前は出したくないという意見があった。

 そこで発想の転換から声の仕事のため、声優に当たった方がいいということから大手事務所のボイス名鑑を聞いて、相性が良い声を事務所と相談した上で初音ミクの声が藤田咲に決まった。

 そこからキャラクター性については試行錯誤しながら誕生。イギリスで世界最初のボーカロイドソフトが発売された時は人の唇写真だけのパッケージだったため、日本で出す時はもう少しわかりやすい形にしようということになった。

 当時ネットで、仕事募集しているイラストレーターの中で色々と見た中でKEIが初音ミクのデザインを担当することになった。佐々木氏は「可愛すぎても音楽を作ってくれる人なのでマニアックすぎても惹かれてしまうため、ちょうどいい温度を悩んだ」とイラストレーター選考での悩みを明かした。

 初音ミクの初期デザインではポニーテールかツインテールするか選択を迫られ、佐々木氏は「ツインテールの方がインパクトある」ということでツインテールのビジュアルに決まったり、衣装なども決まった。

 番組MCのカズレーザーからキャラクターをはっきりさせた理由について聞かれると、佐々木氏は「はっきりしていないと何かわからない」と答えた。「この子が歌ってるとわからないと、聴いている側が実感を持って思い入れできなく、入っていかないなと思いました」と続けた。そして当時はニコニコ動画がはやり始めた頃で、動画としてキャラクターが出るため、見た目のインパクトが大きいと感じて「イラストも気合を入れて作らないといけない」と当時を振り返った。

 “キャラクターを付けた方がいい”というのは佐々木氏の自己判断だったという。当時、佐々木氏はブログで初音ミクのキャラクターを公開するとネットでは懐疑的な意見もあったり、完成前から注目度も上がっていた。そして2007年8月31日にボーカロイドの初音ミクは誕生した。

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2022年8月4日のニュース