未熟な去年の姿なし!阪神・井上が積極性でジンクス打破 侍・高橋も撃破で得点圏打率・556に

[ 2023年4月29日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神4-0ヤクルト ( 2023年4月28日    神宮 )

1回、先制打を放った井上(左)(撮影・岸 良祐)
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 阪神・井上広大(こうた)外野手(21)が28日のヤクルト戦で高卒4年目で初の決勝打を放った。初回2死満塁から初球を左前へ先制打。今春WBCで世界一に輝いた侍ジャパンの一員だった高橋との初対戦で積極果敢なスイングが光った。プロ初の猛打賞だった前夜の巨人戦に続く殊勲打。大勝翌日で初回の好機を生かし、2連勝を呼び込んだ。

 プロ初の猛打賞の翌日も和製大砲候補の勢いは止まらなかった。いや、井上は自らの力で前進した。

 「チャンスだったので、相手もボール先行になりたくないところで初球から思い切って打てた」

 初回だ。2死無走者から生まれた満塁機。狙っていたのは目前で佐藤輝が四球を選んだ後の初球だった。迷いはない。高橋の直球をコンパクトに振り抜いた。三遊間を鋭く破り、走者2人を還した。

 「真っすぐがとても速くて浮き上がるイメージ。一球ではじき返せて良かった」

 続く坂本と履正社高コンビでの連続適時打が決まって3点を先行。優勢は最後まで揺るがず、初の決勝打になった。前夜は今季最多の19安打15得点で巨人に大勝。猛攻の翌日は一転して貧打に陥りやすいジンクスを早々に打ち破り、価値も上がった。

 「やっぱりストライクから振っていかないといけない。振ったら相手も考えて違うボールだったり、違う配球になってくる」

 19年ドラフト2位。眠っていた才能は徐々に開花しつつある。直近の結果に結びついているのが積極的なスイングだ。殊勲打の後は4打席凡退でも5回の3打席目を除いて5打席のうち4打席は第1ストライクで自ら仕掛けた。長打力を武器としつつ、今季から打席での意識は左中間から右中間への低い打球。特に好機では投手の足元へ狙って打つことで、気持ちの余裕が違うという。昨季唯一の先発出場だった8月14日の中日戦では4打数無安打2三振。積極性を欠いて当時の矢野監督から苦言を呈された姿は今はもうない。

 6番の起用に応える得点圏打率・556(9打数5安打)で7打点。岡田監督にも「ちょうどチャンスが来るからな。6、7(番)が打ったら点になるよなあ」と認められた。もちろん緩まない。勝負の4年目は始まったばかり。「一試合一試合、本当に大事になってくる。出る試合を、しっかり自分のものにできるようにこれからもやっていきたいと思う」。21歳の大器が広大な未来へと加速し始めた。 (石崎 祥平)

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