「和」の市西宮、6年ぶり8強 秘策の継投に作戦も的中 主将「最後まで負ける気はありません」

[ 2023年4月29日 18:36 ]

春季高校野球兵庫県大会3回戦   市西宮4―1市尼崎 ( 2023年4月29日    姫路・ウインク球場 )

8強進出を決め、笑顔で下田(背番号6)に駆け寄る市西宮の選手たち
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 市西宮が4投手の継投と機動力をからめた攻撃で快勝した。8強進出はプロ野球・中日に進んだ山本拓実投手(23)を擁した2017年の春季大会、夏の選手権大会以来6年ぶり。

 5回を2安打零封していた先発の背番号「1」赤井翔太(3年)から左腕・西端隼平(3年)、さらに右腕・南光悟(2年)、最後は遊撃手の下田弘太(3年)とつないで1失点でしのいだ。

 吉田俊介監督は「継投の順番もタイミングもほぼ予定通りでした」と話した。「これまでも考えてはいましたが、4人でつないだのは初めて」と温めていた秘策の継投だった。

 赤井は「予定では3回と聞いていましたが、いけるところまでいくつもりでした」と立ち上がりから飛ばした。5回64球で余力を残して降板し、自らブルペンに足を運んで、後続投手に託した。

 リードした主将で捕手の小野颯真(3年)とは中学時代からバッテリーを組む。小野は「2巡目以降を考え、1巡目は隠すところは隠した」と、頭脳的な配球で的を絞らせなかった。

 8、9回を締めた下田は「去年の春に抑えているので自信を持って投げられた」と話した。2年生だった昨年の春季地区大会で市尼崎を5安打で完封勝利を飾っていた。「先発でもリリーフでも任されたところで自分の力を出せるようにしたい」。先発・遊撃からの登板で、この日は「20球足らず」の準備だったが「守備で投げているので問題はない」と頼もしい。

 攻撃面では機動力を生かした作戦が奏功した。3回裏は送りバントから岡田万册(3年)の右前打で先制。5回裏は無死一塁から田中至(3年)がバスターエンドランを決め、生末(いくすえ)磨宏(3年)の左犠飛。6回裏は飯田翔太(3年)の二盗からバントが敵失を誘った。7回裏はスクイズが決まった。

 県内屈指の進学校。吉田監督は「爆発的な打力はありませんので、機動力を使いながら、点を積み重ねたい。集中力のある選手たちで、サインに対して初球で決めてくれる」とたたえた。

 チームスローガンは「和 勝利への執念」。小野は「ただ仲良くするのではなく、相手へのリスペクトや礼儀を大切にしたうえで、勝つことにこだわりたい」という。

 準々決勝(3日)の相手は今春選抜出場の社。小野は「自分たちがやるべきことをやれば、手の届かない相手ではない」と堂々挑む構えでいる。目標を問われると「最後まで負けるつもりはありません」と力強く話した。(内田 雅也)

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