決勝進出両校の名誉監督・高嶋氏「夢。えらいことになった」うれしい嘆き

[ 2021年8月29日 09:30 ]

第103回全国高校野球選手権大会決勝   智弁和歌山ー智弁学園 ( 2021年8月29日    甲子園 )

甲子園球場
Photo By スポニチ

 第103回全国高校野球選手権大会は29日、大会史上初の決勝同門対決が行われる。智弁和歌山と智弁学園(奈良)の対戦は午後2時から行われる。

 監督として智弁学園と智弁和歌山を甲子園に導き、現在は両校の名誉監督を務める高嶋仁氏(75)は「智弁対決」の決勝に「それが夢やったんですよ。現実となったので、えらいことになったなと思いました」と喜びをかみしめた。

 72年に智弁学園の野球部監督に就任。春2度、夏1度の甲子園出場へ導いた。「自分がつくったチームが甲子園に行った。それが大きかった。これをやったら甲子園に行けるんやとね」と指導者としての礎を築いた。

 80年に智弁和歌山へ移り、創部2年目の無名校を猛練習で鍛え上げ春12度、夏は23度出場を果たし強豪に育て上げた。02年夏の3回戦で智弁学園と初対決。智弁学園元理事長の藤田照清氏(故人)に「今年は奈良の智弁が強いですから。どうぞ奈良の方(応援席)に行ってください」と謙遜したが、内心は「負けるわけないだろ」と燃えていた。

 智弁学園のエース右腕・田中曜平(3年)はスライダーを武器に初戦から2試合連続完封。高嶋氏は「スライダーを打つのは誰や、智弁和歌山の選手やろ」と選手を激励。発奮したナインは田中を打ち崩し、7―3で「智弁対決」を制した。

 高嶋氏は歴代最多となる甲子園68勝を挙げ、18年に監督を退任。今大会は解説を務めている。智弁和歌山では孫・奨哉(3年)が三塁手ではつらつとプレー。石見智翠館との準々決勝では甲子園初アーチを放った。強豪を打ち倒し、対決を実現させた智弁和歌山・中谷仁監督、智弁学園・小坂将商監督の指揮に「それぞれに自分の持ち味を出してるように思います」と目を細める。

 「どちらを(応援する)と言われると、理事長に怒られるから両方です」。名将はうれしい悩みに顔をほころばせた。(柳内 遼平)

続きを表示

この記事のフォト

2021年8月29日のニュース