快進撃のオリックス 実践する「勝利と育成の両立」

[ 2021年6月24日 09:00 ]

<オ・日(10)>11連勝し、ハイタッチをするオリックスナイン (撮影・平嶋 理子)
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 「中嶋オリックス」が止まらない。6月23日の日本ハム戦でも勝利し、これで7カード連続勝ち越し。オリックス球団(89年~)で最長の11連勝で、前身の阪急時代だった84年5月~6月の13連勝以来37年ぶりで首位をキープ。中嶋監督は「連勝のことは考えていなくて。目の前の相手から点を取る、抑える。勝ち抜くことしか考えていない」と、挑戦者の姿勢を崩さない。

 11年ぶりの交流戦優勝。6月18日からのリーグ戦再開となった楽天戦。中嶋監督は“試金石の3連戦”と位置付けた。「今はゲーム差は関係ない。交流戦で差は詰まったけど、リーグでは負けているし5位だったわけだから。不安な部分も楽しみな部分も。今の力がどれくらいなのか、これで分かる」。そう臨んだ首位浮上が懸かった3連戦で3連勝し7年ぶりの単独首位。「勇気が出るというか。やっていけるのではないかというか。ようやくパ・リーグの中で頑張れるのではないかと思える」。勢いか、実力か。今季の分岐点になるのかもしれない。

 快進撃の土台には、若手の急成長を促す中嶋監督の手腕がある。「失敗は誰でもある。取り返そうとする姿が必要で、何とかしようという姿を見せてくれたら、僕は我慢できます」。開幕遊撃に抜てきした19歳の紅林は、当初は打撃不振に拙守も重なったが我慢強く起用し、定位置が似合うようになった。勝ち継投を固定しない救援陣もそう。平野佳、ヒギンスが重要局面を担うのはそうだが、疲労を考慮した起用。その際はK―鈴木や村西を使い、精彩を欠く場面が続いても、失敗を飛躍の糧にさせ戦力に引き揚げた。とにかく勝利が求められるプロ野球で、長いシーズンを見据えた上に、「勝利と育成の両立」まで見事に実践している。

 元々、投打の柱は「極太」。山本は球界No.1投手の称号が十分手に届く存在で、吉田正は今季も打率リーグトップを独走中。右肘違和感で山岡が抹消されたが、田嶋や19歳・宮城が台頭した先発陣は、それでも強力だ。昨年8月21日、監督代行就任会見で指揮官は、「自分本来の力を出し切っていない選手が多い」と言った。杉本は持ち前のパワーに確実性を備え、吉田正の後ろを任せられる存在になった。走攻守3拍子揃う宗は、特に三塁守備は球界トップクラスと言えるレベルで欠かせない存在になった。救援では、150キロ超を軽々と投げるK―鈴木や漆原、故障さえなければ近藤や黒木もいる。他にもポテンシャルを感じさせる選手は多い。古巣復帰した平野佳やベテラン能見の経験値はここから、さらに頼れるだろうし、ジョーンズやロメロら助っ人砲は、ここまでDHや代打起用が中心で疲労が少ないことも今後のプラス材料だ。

 まだ前半戦。長いシーズンを思えば、故障やスランプをはじめ、何があるか分からない。それでも、若手とベテラン、投打がガッチリ噛み合い、指揮官を中心とした一丸姿勢のオリックスに、風が吹いていることは間違いない。(記者コラム・湯澤 涼)

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