「命懸けで金」約束果たした ソフト矢端チームリーダー 長男が17歳で先月急死

[ 2021年7月28日 05:30 ]

東京五輪第5日 ソフトボール決勝   日本2-0米国 ( 2021年7月27日    横浜 )

<日本・米国>笑顔で金メダルを掲げるソフトボール日本代表選手たち(撮影・小海途 良幹)
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 日本には、勝たなければならない理由がもう一つ、生まれていた。日本ソフトボール協会の強化副本部長で、チームづくりを統括してきた矢端信介チームリーダー(57)の長男・惟久雄(いくお)さんが先月11日、留学先のスイスで不慮の事故により急死。享年17だった。群馬・高崎で強化の最終局面を迎えていた時期。矢端氏はそのことをチームに伝えずにいた。

 しかし6月中旬、オンラインで行われた日本協会の壮行会で「命懸けで金メダルを」とあいさつした矢端氏は突然、泣き崩れた。ミーティングで理由を説明すると、選手たちも涙を浮かべていたという。スイスから移送された遺体は同26日に都内で荼毘(だび)に付された。その棺には全選手がサインした日本のユニホームが手向けられた。

 矢端氏は東京五輪の準備に専念するため、30年以上務めた高校の教員を辞め、北海道江別市の自宅を離れ、都内で暮らしていた。チームを1週間だけ離れ、遺体と寄り添ったのが、惟久雄さんにしてあげられた最後のこと。まだ東京のマンションにある遺骨は、獲得したメダルとともに今後、北海道の自宅に帰る。

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2021年7月28日のニュース