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永瀬 柔道ニッポン4日連続金!男子81キロ級21年ぶり制覇「このためにやってきて良かった」

[ 2021年7月28日 05:30 ]

東京五輪第5日 柔道男子81キロ級 ( 2021年7月27日    日本武道館 )

男子81キロ級決勝、延長でモンゴルのサイード・モラエイ(下)から技ありを奪い、優勝した永瀬
Photo By 共同

 不屈の男が金メダルのバトンをつないだ。男子81キロ級でノーシードだった永瀬貴規(27=旭化成)が決勝でサイード・モラエイ(モンゴル)を破り、2度目の五輪で初の金メダルを獲得した。これで柔道男子は初日から4日連続金メダルの快挙。金4個も無差別級を含む8階級が実施された84年ロサンゼルス五輪に並ぶ最多タイとなった。 

 涙をこらえるように軽く天を仰ぐと、この5年間が走馬灯のように脳裏に浮かび、またグッと我慢した。だが畳を下りて金丸雄介コーチに抱きとめられると、我慢は限界に達した。リオ銅の悔しさ、その後味わったケガの苦しみ全てを洗い流す金メダル。「リオで悔しい思いをして、5年間、つらい時間の方が多かったが、本当にこのためにやってきて良かった」。平易な表現に思いが詰まった。

 3日連続で日本勢が金メダルを獲得する重圧の中、男子7階級屈指の激戦区をノーシードから5試合勝ち抜いた。初戦は世界ランキング4位が相手。全ての試合で指導が飛び、準々決勝までの3試合は指導2で追い詰められた。だが抜群の勝負度胸と勝負勘を発揮。決勝は延長1分43秒、大外刈りを仕掛けた後、体落としで技あり。「相手が疲れ、自分のターンが来たなと。チャンスを決めようと思った」と00年シドニー大会の滝本誠以来となる同級制覇の瞬間を回想した。

 誰よりも苦しい5年間を過ごしてきた。緊張でガチガチになったリオ五輪は、実力の半分も出せなかった。精神的なもろさを見抜いた井上康生監督の勧めもあり、翌年にはドイツやオーストリアへ単身武者修行。17年世界選手権、2度目の世界一を獲って出直す青写真だったが、4回戦で右膝の内側側副じん帯と前十字じん帯を損傷。練習復帰に半年以上を要す重傷だった。

 リハビリの期間、読書の習慣を身に付けた。特に心に響いたのが、同じ右膝のケガが原因で引退に追い込まれた元サッカー日本代表、内田篤人氏の著書「僕は自分が見たことしか信じない」。「考え方、ケガした部分も似ていた。信念を貫き通すことが大事だと。そこは見習った」。ケガから約1年後に実戦復帰し、当初は連戦連敗だったが、不屈の闘志でよみがえり、悲願の頂点へと駆け上がった。

 リオでは大野将平と共に日本代表の看板選手に挙げていた井上監督も「5年前だったら(重圧に)つぶされていたかもしれない。大した男」と称えた。永瀬も自らの長所を「気持ちで折れずに、最後まで攻め抜く姿勢」と言った。それはこの日の5試合だけでなく、この5年間を表現した言葉だった。

 ◇永瀬 貴規(ながせ・たかのり)1993年(平5)10月14日生まれ、長崎県出身の27歳。長崎日大高―筑波大出。15年世界選手権優勝、リオ五輪銅メダル。全日本選抜体重別選手権は14年から4連覇するなど優勝5度。得意は大内刈り、内股。1メートル82。

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