永瀬の柔道は中3の夏に変わった 長崎日大高時代の恩師「手足が長く、懐も深い」この子は伸びると直感

[ 2021年7月28日 05:45 ]

東京五輪第5日 柔道男子81キロ級 ( 2021年7月27日    日本武道館 )

永瀬が長崎日大高を卒業する時、恩師の松本太一監督に贈った寄せ書きボードのメッセージ

 男子81キロ級でノーシードだった永瀬貴規(27=旭化成)が決勝でサイード・モラエイ(モンゴル)を破り、2度目の五輪で初の金メダルを獲得した。

 中学までは全国大会でも入賞止まりだった永瀬が、飛躍への土台をつくったのが長崎日大高時代。3年間、指導に当たった松本太一監督(41)が、中1か中2で初めて試合を見た時の思いは「あんまり強くないな」だった。その印象が変わったのが、永瀬が中3だった夏の国体に向けた合同練習だった。

 高校で日本一になり、監督就任後も現役を続けていた松本氏。乱取りの一本目、現在よりも細身の永瀬が果敢に挑んできた。「手足が長く、懐も深い。こちらがちゃんとやらないと投げられなかった」。この子は伸びる。そう直感した。高1春の全国選手権で早くも優勝するなど、見立ては大正解だった。

 毎日2人で繰り返した乱取りを、松本氏は「魚釣り」に例える。「餌をまいて、そこにいつ気づくか」。柔道の言葉にすれば「隙をつくり、いつ気づいて技を掛けてくるか」。最初は気づかなかったり、別の技を掛けたりした永瀬だが「2、3年の時には僕も余裕がなくなった」という。

 高校時代、毎日課した柔道ノート。高2だった11年3月の全国選手権が東日本大震災で中止に追い込まれた際、「試合がしたかった」と書いてきたという。「そういう感情を形に残す子ではないと思っていたので意外だった」と松本氏。体の芯を貫く柔道へのモチベーションで金メダルにたどり着いた。

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2021年7月28日のニュース