上野と勝利の方程式 後藤の恩師称賛もポニーテールは「暑いから切れ!」

[ 2021年7月28日 05:30 ]

東京五輪第5日 ソフトボール決勝   日本2―0米国 ( 2021年7月27日    横浜 )

6回、好救援を見せた後藤(撮影・北條 貴史)
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 ソフトボール日本代表は27日、米国との頂上対決を制し、2008年の北京大会以来13年ぶりの金メダルを獲得した。今大会はエース上野由岐子(39)の後を継ぐニューヒロインが誕生。好リリーフを連発した守護神・後藤希友(20)だ。この日も2点リードの6回に登場。無失点に抑え、最終回に再登板した上野へとつなぎ勝利へ導いた。故郷愛知県の恩師らは「よく頑張った」と拍手を送った。

 名古屋市立日比野中の元ソフトボール部顧問の住田茂さん(67)は、ミットがつぶれるまで練習した日々に思いを寄せた。

 「なんでもやりたがる子。できもしないのにチャレンジする。チームにも知らないうちに入ってきた」と後藤との出会いを振り返り笑顔。中学の練習体験に地域の小学6年生を呼んだ際に、4年生の後藤が上級生にくっついて素知らぬ顔で交じっていたという。

 しかし、投手をやらせてみて、肩や腕の柔らかさや伸びのある球に目を奪われた。「剛腕ではなく、しなるような柔らかさが希友の才能」と見込み、上半身ではなく下半身を強化。部員が足りず、チームとして稼働できなくなった中学2年からは、毎日、投げ込みに付き合った。ミットはつぶれて買い替え、住田さんは何度も指を痛めたが「こちらが痛いとは言えないでしょ」と、後藤の球を受け続けた。

 上野の後を後藤が継ぐ鉄壁のリレーが確立された今大会。「上野さんが5回まで投げてくれるから、希友が生きる。大会が1年延びて、希友にはラッキーだった」と成長著しい教え子に目を細めた。

 長いポニーテールを揺らしての登板も注目を集めた。関係者によると、今年1月の成人式のために伸ばしていた髪。これまでショートカットが多かった日本代表選手のイメージも一新した。

 しかし恩師は「全国のソフトボールをしている子供たちの手本になる存在になった。ちゃらちゃらするな。暑いから、終わったら切れ!」と“喝”。日本を代表する選手になったからこその温かく厳しい言葉で、さらなる飛躍を信じていた。

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