父・ツトムさんが語るカノア 生まれる前から整っていた環境、自由に世界飛び回る「地球人」

[ 2021年7月28日 06:05 ]

東京五輪第5日 サーフィン男子決勝 ( 2021年7月27日    釣ヶ崎海岸サーフィンビーチ )

<サーフィン>男子決勝戦、銀メダルを手にする五十嵐(撮影・会津 智海)
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 新競技の初代チャンピオンを目指した男子の五十嵐カノア(23=木下グループ)は、決勝でプロ最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)19年総合王者のイタロ・フェヘイラ(27=ブラジル)に惜しくも敗れたが、銀メダルを獲得した。

 ハワイ語で「自由」を意味する名を与えられたカノアは、95年に米カリフォルニア州に移住した父・ツトムさん、母・美佐子さんの間に生を受けた。ともにアマチュア大会に出場するほどの愛好家。「将来は海外に住んで、子供を産み、サーフィンができる環境で育てよう」と考えてのことだった。

 最初は浜辺で父が波に乗る姿を見ているだけだったカノアだが、3歳の時に見た真っ黄色のボードをねだり、サーフィン人生が始まった。毎朝6時前には起床し、7歳の時には大会で優勝する喜びを知った。トレーナーの仕事をしていたツトムさんはトレーニングや体のケアなどでサポート。10代になると、早くも国際大会を飛び回る実力を付けていった。16年にはプロ最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)に日本人で初めて昇格し、19年にインドネシア・バリで行われた大会で初優勝。同年は総合6位と着実に実力を付けたのは、常に将来を考えて環境を与えてきたからだ。

 幼い時から世界を飛び回り、その国の言語や文化、習慣や食事に順応することは、サーフィンでの対応力にもつながっている。「カノアは日本人とか米国人とかではなく、地球人。自宅でもスーツケースから服を出している」とツトムさん。12本の板とわずかな洋服とともに、また新しい波を求めて世界を飛び回る。

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