ラグビー元日本代表WTB大畑大介氏が語る7人制最終日のポイント ボール保持して攻撃の流れ呼び込め

[ 2021年7月28日 05:30 ]

<日本・フィジー>前半、ディフェンスを振り切りトライを決める松井
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 東京五輪ラグビー7人制男子の日本は28日に11、12位決定戦で韓国と対戦する。元日本代表WTBでテストマッチ通算69トライの世界記録を持つ大畑大介氏(45)がこれまでの試合を分析し、競技最終日のポイントを挙げた。

 日本は前回のリオ五輪でニュージーランドを破るなど4位に躍進しましたが、今大会は予選3戦3敗で準々決勝に駒を進めることができませんでした。残念な結果ですが、今回の東京五輪で初めて7人制ラグビーをテレビなどで視聴されたという方も多いのではないでしょうか。

 15人制と同じ広さのフィールドを7人でカバーする競技で、最も要求されるのがランニングスキルです。15人制は格闘技の要素を多分に含みますが、7人制は極端な表現をすれば、究極の“鬼ごっご”と言えます。360度、全方位から攻めることができる。人もボールもめまぐるしく動く、スリリングでスピーディーな展開が最大の魅力です。

 前後半とも試合時間は7分間と短いが故、一つのミスが致命傷につながりかねません。競技が開幕した26日の2戦目・英国戦、27日のカナダ戦は悪い流れの典型例でした。7人制で最も大事なのは、キックオフのボールをいかにキープできるかです。2試合ともそれが全くできませんでした。開始早々に失点し、一気にペースを持っていかれた。仕切り直しでハンドリングエラーも出た。息つく間もなくゲームを決められた印象です。

 27日の9~12位決定予備戦でもケニアに7―21で敗戦。防御も淡泊で、後半は誰も足が動いていませんでした。前回のリオ五輪と比較すると、キックオフのキャッチに秀でた桑水流裕策(リオ五輪男子日本代表主将)のようなスペシャリスト不在も響いたように感じます。何度も言いますが、7人制はボールを保持することが一番大事な事なのです。

 26日の初戦、フィジー戦で主将の松井千士選手(キヤノン)が70メートル独走トライを決めました。カナダ戦では60メートルを走り切った。彼は局面を一気に打開できるスピードランナーです。敵の防御を集めた後に彼のような決定力のあるランナーにいかに良い時間帯、良い形でボールを集めることができるかが鍵になります。前回リオ五輪で金メダルを獲得したフィジーとは19―24と互角に渡り合った経験を28日の韓国戦に結びつけてほしいです。

 29日には女子の競技も開幕します。日本はC組で、リオ五輪で金メダルを獲得したオーストラリアや米国など強豪と同居する激戦ブロックに入りました。男子は最終日にホスト国の意地を見せなければなりません。必ず1勝し、11位で大会を終えること。少しでも良い形で女子にバトンを渡してもらいたいです。

 ◇大畑 大介(おおはた・だいすけ)1975年(昭50)11月11日生まれ、大阪市東淀川区出身の45歳。小3からラグビーを始め、東海大仰星、京産大を経て98年に神戸製鋼入社。02年12月にフランス1部モンフェランへ移籍し、03年に神鋼に復帰してチームをトップリーグ初代王者に導いた。日本代表キャップ58でW杯は99、03年大会に出場。テストマッチ通算69トライ。現在は神鋼のアンバサダー、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会アスリート委員会委員。

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