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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】変形性膝関節症 モデルのように格好良く歩こう

[ 2018年5月16日 12:00 ]

(1)正常な膝。軟骨の減りも、軟骨が棘(とげ)のように変形する骨棘(こつきょく)もない
Photo By 提供写真

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(67)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する新連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。第2回は膝の痛み。70歳では2人に1人が発症する「変形性膝関節症」です。充実したシニアライフを過ごすため、寝たきりにならない予防法を教えます。

 みなさん、こんにちは。生島ヒロシです。年を取れば誰でも膝に痛みを感じる時があると思います。その8割を占めるのが「変形性膝関節症」なのです。

 厚生労働省の調査では、日本人で自覚症状のある患者はなんと1000万人。潜在患者となると3000万人。4人に1人がそうなんです。60歳で30%、70歳では50%というデータもあります。膝が痛ければ歩けません。適切な処置をしなければ、寝たきりになってしまいます。

 【原因】加齢によって大腿骨と脛骨(けいこつ)を覆う軟骨(下イラスト)が徐々にすり減り、関節の中で炎症を起こして痛みが発生します。加齢ですから誰にでも訪れる疾患です。そんな中でも要注意なのが猫背。前かがみで歩くと、膝への負担が大きくなります。これが軟骨をすり減らすのです。肥満も要因の一つ。この体重では当然か…と思っている方も多いんじゃないですか?女性に多いO脚も、膝関節に不自然な負荷がかかるので発症につながります。

 【検査】エックス線で軟骨の状態を見てもらう。まずはこれです。正常な人と痛みを抱えている人のエックス線写真を見比べれば、素人目にも分かります。僕も見比べたことがあります。軟骨が減って、骨と骨の隙間が狭くなっていました。痛みの原因が、過去の骨折や半月板損傷のこともあります。半月板、靱帯(じんたい)はエックス線では確認できないので、その場合はMRI(磁気共鳴画像装置)で検査します。リウマチや痛風と判別するため、血液や関節液を検査することもあります。

 【治療】初期症状の人に、僕のオススメがあるんです。ウオーキングです。膝を支える筋肉を鍛えるということなんですが、膝に過度の負担をかけるのは禁物。でも動かさないのもいけない。だからウオーキングがいいのです。僕がよく相談に乗ってもらっている麹町白石接骨院(東京都千代田区)の白石洋介院長は、足先は10度ぐらい外側に向けてのウオーキングがいいと言ってますね。ただし、かかとからドンと強く足を着くのは軟骨に悪いので注意が必要。中程度以上の症状なら、膝を浮かせた状態での運動がいいですね。椅子に座って膝を交互に上げるとか。症状が進行してからは、膝に荷重がかからない運動を心掛けてくださいね。

■鍵は太腿の筋力 医療用の「足底板」を使っての治療もあります。インソールのように靴の中に敷いたり、足の裏に装着します。O脚なら足の内側を低くして、膝の曲がりを矯正。軟骨のすり減りを止めるのです。ヒアルロン酸の患部への注射もあります。ヒアルロン酸は元々関節液の中に多く含まれている成分で、関節の動きを滑らかにするのです。また痛みがひどく、関節が変形してしまった場合には、人工関節を入れる外科手術もあります。

 【予防法】ナルシシストになる。これです。何なんだ?と言われるかもしれませんが、膝の筋力強化になるウオーキング法なんです。膝を伸ばして、背筋も伸ばして、さっそうと。これが膝にいいんです。ファッションモデルがランウエーを歩くような感じで。この姿勢を保つには誰かに見られていると思って、意識的に奇麗に歩くのが大切なんです。街中で鏡やショーウインドーの前を通ったら、歩き方をチェックする。ナルシシストと言われたっていいじゃないですか。膝痛を予防しながら、若々しくも見える。いいことずくめなんです。とにかく、前かがみで、膝を曲げて、歩幅が小さい歩き方は絶対ダメ。膝に負担がかかるのです。

 食事でも予防できます。膝軟骨を作る成分、コンドロイチンやグルコサミンを含むネバネバ系食材、甲殻類を取るように気をつけたい。納豆やなめこ、エビやカニですね。ただし高齢者は内臓機能が低下していくので、食べ物からうまく有効成分を作り出せなくなるといいます。コンドロイチンやグルコサミンのサプリメントを飲むことを薦めるお医者さんは多いですね。

 肥満対策も重要ですね。やはり僕がお世話になっている元赤坂クリニック(東京都港区)の仲尾保志院長は「2〜3キロの減量でも随分違う」と話していますよ。あと膝を冷やすのは厳禁。これからの季節、クーラーの冷風が当たらないようにして、できれば膝掛けなどで温める。そういえば先日雑誌に「束ねたつまようじで膝の裏を押す」というのが載っていました。

 シニア世代は和の生活様式のイメージがあります。和の文化は正座が多い。膝には良くないです。生活様式は洋式にしましょう。「車だって90年乗ろうと思ったら、しっかりとしたメンテナンスが必要」。仲尾院長の言葉です。膝も同じ。予防運動に食事、あるいは通院。放っておくのが一番良くないですね。

 ◆変形性膝関節症 膝の軟骨に負担がかかることで軟骨が摩耗し、その過程で出る「削りかす」が関節包の中の滑膜に炎症を起こす。痛みの原因はこの炎症。炎症が起きると関節液が増える。「水がたまる」とはこの現象のこと。炎症が起きている状態で軟骨に負担がかかると、さらに軟骨が摩耗。最終的に大腿骨、脛骨がすり減るなど骨が変形する。

 ◆生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の67歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月〜金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。

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