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【さくらいよしえ きょうもセンベロ】持ってる店主にあやかろう 酔いも運気も頂へ

お客さんでにぎわう「煮こみや 富士山」の加賀美誠代表(右)
Photo By スポニチ

 新年はめでたく、志も高く!とセンベロライター・さくらいよしえが出掛けたのは東京都杉並区西荻窪の「煮こみや 富士山」。モダンな肴(さかな)で立ち飲むうちに、不思議なことが!ココはパワースポットか?

 目の前のロースト丸鶏と同じ、わしは丸裸になった気分であった。夕暮れ時、気取って女1人酒をするはずが、富士山の5合目あたりで、干支(えと、丑=うし=年44歳)から生地(大阪のど田舎)、その他もろもろ(住まいに家族構成職業など)をつまびらかにされていた。

 名物は煮立つ大きな2つの鍋。セロリとともに炊き上げる白ワイン入り白煮こみと、ロースト玉ねぎをきかせた赤ワイン入り赤煮こみ。モツはその日によって豚だったり牛だったり部位も多彩。わしは大衆立ち飲みにして、ビストロ風の味わいに深く感動し酔った。

 で、油断したのだった。一見もの静かな店主は、コの字カウンターに集う赤の他人同士を独自の記憶ファイルでつなげる秘技があった。

 「おや、こちらも関西出身」「あちら小田急線にお住まい。ご近所さん同士かも」「そちら出版関係でしたよね、こちらも」という具合に友の輪をさりげなく広げていく。

 客らは皆、戸惑いながらも自己紹介。やがて半生までしゃべりだし自ら丸裸になるという構図だ。

 店主は元会社員。「会社帰りに立ち寄るバーがあったんですが、そこのマスターがやってた競馬の予想サイトが人気になり、もうバーを辞めるけど誰かやる?って。思わず“ぼくやります!”」と立候補。

 30歳だった。しかしバーはびっくりするほど儲(もう)からない。昼間はバイトをしながらの相棒の後輩男子と4畳半暮らしが始まる。

 そんなある日のこと、アパートが立ち退きをすることに。「補償金が70万円出たんですよ(にこ!)」。棚ぼただ。

 で、そこからさらにボロい部屋に引っ越すのだが、間もなく事件が起こる。「“火事だー”って声で飛び起きたら他の部屋から火の手が…」。着の身着のまま窓からダイブ。「この時は、火災保険で250万が(にこにこ!)」。

 このダブルの棚ぼたが、新しい酒場を開店する軍資金になり見事一発逆転。

 今夜も店主のおでこが幸運を呼ぶダイヤモンド富士のごとくキラリと輝く。生きたパワースポットの如(ごと)く民が集う。

 ドドン。太鼓が鳴る。

 ご新規さんだ。「そちら、住まいは…?」と聞くのはわしである。ぐんぐん広げよう富士講の輪。一富士、二鷹、三茄子(なすび)。吉夢をお約束いたします。(さくらい よしえ)

 ◆富士山 JR中央線西荻窪駅南口から徒歩10秒。店主の加賀美誠さん(44)は元商社マン。半導体、メカトロニクスの営業を担当。「富士山」のほか阿佐谷の「ビストロ猫の髭」などの店舗も経営している居酒屋界のニューウエーブだ。看板メニューの「煮込み」のほか、生ハム、丸鶏なども。梅干しと都こんぶが入った「男梅チューハイ」は男子に人気の骨太酒だ。東京都西荻南3の25の6。(電)070(6668)3426。年中無休。営業は午後5時ごろから11時。以降はバータイムで平日は午前4時、金・土曜日は午前5時まで営業。

 ◆さくらい よしえ 1973年(昭48)大阪生まれ。日大芸術学部卒。著書は「東京★千円で酔える店」(メディアファクトリー)、「今夜も孤独じゃないグルメ」(交通新聞社)「きょうも、せんべろ」(イースト・プレス)など。

[ 2018年1月12日 12:00 ]

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