【紅白】笑いに憑依にダンス、語り部も…大泉洋 暴走封印、表現力で見せた3度目の“大泉劇場”

[ 2022年12月31日 23:47 ]

<第73回NHK紅白歌合戦>司会の大泉洋(左)と橋本環奈(撮影・小海途 良幹)
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 大みそか恒例の「第73回NHK紅白歌合戦」(後7・20)が31日、東京・渋谷のNHKホールなどで行われ、俳優の大泉洋(49)が3年連続の司会をやり切った。紅白は白組が3年ぶり40回目の優勝。「やりました!よくやった!勝った!ついに勝った!」。盟友・福山雅治が大トリを務めた白組の勝利を喜んだ。

 3度目といえど、コロナ禍などで満員のNHKホールから番組を届けるのは自身初めてだった。「NHKホールに満杯のお客さん、初めて見ますから」。客席を見渡して上げた声は、純度100%の喜びだった。

 舌は例年以上に滑らかだった。初出場の「なにわ男子」大橋和也には、「大橋君、今日大事な日なのに遅刻したんですよね?寝坊したんでしょ?」と、“悪い人の顔”をして追及。「日向坂46」が歌う「キツネ」でバックダンサーを務めた山内恵介には、「山内さんだけ、池に落とした金歯のようでね…。水色の中にね」と、金ピカの衣装をいじった。

 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、前半戦の最重要キャスト・源頼朝を熱演。ゲスト出演した北条義時役の小栗旬とは、がっちりとハグした。「お前…俺の一族、みんな殺しちゃったな。俺も悪いけど、お前も悪かった」。頼朝が憑依(ひょうい)したかのようにつぶやいたかと思えば、共演したゲスト審査員の坂東彌十郎、「ティモンディ」高岸宏行に向かって「久々にそろいましたね。本当はこのまま飲みたいけども」と、作品や仲間たちへの愛着を口に。「鎌倉殿ロス」の視聴者に、思い出を追体験させるようなやりとりを見せた。

 “表現者・大泉洋”としての最大の見せ場は、後半戦の特別企画「ディズニースペシャルメドレー」だった。橋本環奈との「星に願いを」では、おふざけ一切なしで情感たっぷりに熱唱。続くダンスパート「ジャンボリミッキー!」にも果敢に挑戦した。周りのアイドルたちと比べ、腕の上がり方は控えめだったが、必死に笑顔を使って激しいダンスに食らいついていった。「歌は良かったけど、その後のダンスで死にそうになったな。めちゃくちゃ疲れるな、『ジャンボリミッキー!』」。その笑みに、充実感を漂わせた。

 歴史の語り部としての顔も見せた。22日放送の「SONGSスペシャル」では、「安全地帯」の玉置浩二と対談。「安全地帯という存在について、自分のふるさとだと、そういうふうにおっしゃっていました」と、収録時に印象的だった言葉を紹介した。17日にドラムスの田中裕二さんが死去。悲しみを振り絞ってパフォーマンスを見せた面々に、こぶしを握りしめて叫んだ。「ありがとう~安全地帯!」。魂のこもった絶叫だった。

 ユーモアだけではなく、感動や元気、視聴体験を回想する楽しさ、そして挑戦することの大切さを、暴走を封印して全身全霊で伝えた。大みそか3度目の“大泉劇場”で見せたのは、底知れぬ表現の引き出しだった。

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