【アニ漫研究部】レクイエム 2022年の物故者名簿

[ 2022年12月31日 12:40 ]

藤子不二雄Aさん
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 2022年もいよいよ残すところ、あと1日。今年も漫画、アニメ界を支えた多くの方が亡くなりました。「アニ漫研究部」もスポニチ本紙で大きく報じた方々を中心に、取材で浮かんだ人柄を偲びつつ、あらためてご冥福をお祈りします。

 ▼水島新司さん(漫画家、1月10日、82歳で死去)「ドカベン」「あぶさん」「野球狂の詩」など野球漫画の第一人者。“魔球全盛”の70年代、漫画的ファンタジーを生かしつつ、リアリティーある野球で人気に。作品には実在選手も数多く登場。球界の信頼も厚かった。2020年、画業引退。その描線は最後まで力強かった。野球殿堂入りを熱望し、候補入りもしていたが「心境の変化」から辞退した。

 ▼とりいかずよしさん(漫画家 2月9日、75歳で死去)「トイレット博士」が大ヒット。「うんこ」を連呼するハチャメチャギャグ漫画で、1970年代の子どもたちを爆笑の渦に。他人の肛門に両手を突き刺す“七年ゴロシ”が子どもたちに流行し、禁止にする学校が相次ぐなど社会問題となった。家族によると「締め切りを一度も破ることなく、仕事には真面目。話の引き出しが多く、冗談好きだが、漫画のような下品なギャグは言わなかった」という。

 ▼藤子不二雄(A)さん(漫画家、4月7日、88歳で死去)藤子・F・不二雄さんとのコンビ「藤子不二雄」で子どもたちを中心に魅了。コンビは87年解消。自身は人の心の裏側をのぞくようなブラックユーモアが得意で、徐々に活躍の場は青年誌に。「怪物くん」「まんが道」「笑ゥせぇるすまん」「魔太郎が来る!!」などが代表作。肉や魚を食べないベジタリアンだったが、ドラマ「怪物くん」で主演した「嵐」大野智の釣った魚は食べており、近年は時々口にしていたエピソードも。

 ▼松島みのりさん(声優・女優、4月8日死去、81歳で死去)「キャンディ・キャンディ」キャンディや、「キン肉マン」ミートくん、「怪物くん」ヒロシなど真っすぐな少年、少女役を多く演じる。国産アニメ第1号「鉄腕アトム」にも出演するなど、日本アニメの黎明期から支えた。2020年以降は、病気療養のため仕事をセーブしていた。

 ▼村生ミオさん(漫画家、4月16日、69歳で死去)4月28日に週刊実話で「闇に抱かれる女」の連載が始まる直前の訃報だった。同作は10月、生前に描かれた23話まで掲載され連載終了。19年から闘病していた。「胸騒ぎの放課後」などで80年代前半のラブコメブームをけん引。90年代以降は青年誌に活躍の場を移し、性描写にも踏み込んだ「SとM」「ボディートラップ」などで人気を博した。担当編集者によると「希代のストーリーテラーで、仕事に真しに取り組む人だった」。今月22日発売の「週刊実話」で、原作を手掛けた“最後の作品”がスタート。

 ▼渡辺宙明さん(作曲家、6月23日、96歳で死去)「マジンガーZ」「秘密戦隊ゴレンジャー」「宇宙刑事ギャバン」などのアニメ、特撮作品の曲を数多く生み出す。昨年95歳で「機界戦隊ゼンカイジャー」の劇中音楽にも参加し“日本最高齢作曲家”となったが、これが最後の作品となった。

 ▼高橋和希さん(漫画家、7月6日、60歳で死去)カードゲームのバトルを描いた「遊☆戯☆王」が大ヒット。プレイヤーの表情を独特のコマ割りで差し込むなど、スリリングな描写で読者を引き込んだ。同作のトレーディングカードは世界的大ヒットとなり、長者番付に名を連ねる。趣味は麻雀とトランプ。漫画家になる前は、ゲーム会社でスロットマシンのパネルデザインも手掛ける。後に、沖縄県の海で人命救助の最中に命を落としたことが明らかに。

 ▼小林清志さん(声優、7月30日、89歳で死去)「ルパン三世」シリーズの次元や「妖怪人間ベム」のベム、「巨人の星」オズマ、「スペースコブラ」クリスタル・ボーイなど、冷静で頼れる大人の声が印象的。私生活でも次元ばりのダンディーさで、ヘビースモーカーだった。ジェームズ・コバーンら吹き替えも数多く担当。

 ▼石井いさみさん(漫画家、9月17日、80歳で死去)「750ライダー」は70年代なかばから10年以上連載。週刊少年チャンピオンの黄金時代を支える。排気量750ccのバイクに乗る主人公は、連載開始当初は硬派な印象だったが、徐々に穏やかな雰囲気に変化。作品も爽やかな青春ストーリーへと変化していく。石井さんの地元で、東京都大田区の商店街、すずらん通りは「750ライダーストリート」として有名。

 ▼かざま鋭二さん(漫画家、10月2日、75歳で死去)ゴルフ漫画「風の大地」(原作は坂田信弘氏)はビッグコミックオリジナルで30年にわたり連載。今年6月から休載していた。今月発売の同誌に最終稿が掲載され、未完のまま連載終了。単行本は既刊84巻。

 ▼聖悠紀さん(漫画家、10月30日、72歳で死去)高校生の頃、同人誌で描き始めた「超人ロック」は半世紀続く名作に。「超電磁マシーン ボルテスV」のキャラクターデザインも担当。20年にパーキンソン病を患い「以前のように絵を描くことはできませんが、できる限り描いていきたい」と復帰に意欲を示していた。

 ▼水木一郎さん(歌手、12月6日、74歳で死去)「マジンガーZ」「バビル二世」「快傑ズバット」などアニメ、特撮の歌を数多く歌った「アニソン界の帝王」。登場キャラクターの名前や、物語のテーマ、世界観を織り込んだ名曲とともに、日本アニメの発展を支えた。「ゼェェェット!」の雄叫びが代名詞。力強い歌声は闘病生活に入る近年まで健在だった。

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2022年12月31日のニュース