阪神・長坂 1434日ぶり先発マスクで初お立ち台「何とか爪痕を残そうと。めちゃめちゃしびれました」

[ 2022年5月22日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神2-1巨人 ( 2022年5月21日    甲子園 )

<神・巨>今季初スタメンマスクを勝利で飾り、笑顔で引き揚げる長坂(左)(撮影・大森 寛明)
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 阪神の長坂拳弥捕手(28)が21日、巨人戦で1434日ぶり通算5度目となった先発起用に攻守で応えた。打撃では貴重な追加点となるセーフティースクイズを成功。守りでは好リードで投手陣をけん引し、盗塁阻止も決めた。チームは1936年当時の復刻ユニホームで挑んだ「伝統の一戦」で5戦目にして待望の初勝利。その中心で存在感を示したニューヒーローが苦しむ矢野阪神を救った。

 我慢していた胸中をヒーローインタビューで打ち明けた。プロ初のお立ち台。「めちゃめちゃしびれました」。一躍脚光を浴びた長坂は「しびれた」を4度も続けた。18年6月17日の楽天戦以来4年ぶりの先発マスク。そんなブランクを感じさせない手綱さばきで、投手陣を最後まで引っ張った。

 「(岩崎に対し)どうやって攻めていきますか?とこっちが思っていることと、岩崎さんが思っていることを確認した。本当にがんばりましょうと」

 最後の最後まで気は抜けなかった。2点優勢の9回。新守護神・岩崎は制球が乱れ不安定だった。3連打で1点差に詰め寄られ、なおも1死一、二塁。打席には前日2打点と復調気配の4番・岡本和を迎えた。対峙(たいじ)する前、3学年上の岩崎のところに歩み寄りマウンド上で左腕を言葉で鼓舞し、背中を押した。若き主砲は二ゴロ、最後は代打・北村を遊ゴロに抑えて歓喜を呼び込んだ。

 先発・ウィルカーソンと息の合ったコンビネーションも光った。7回無失点でけん引。そして圧巻は2点優勢の8回だ。1死一塁の場面では肩で魅せた。代走・増田大の二盗を阻止。前夜の9回も無死一塁の場面でスペシャリストの盗塁を封じた。増田大が同じ捕手に2回連続で盗塁を阻止されたのは実にプロ7年目にして初の屈辱。好リードと肩を武器に先発捕手としての実力を結果で証明した。

 「打席に入る前にサインが出ました。(打席に向かう時点で)あるとは言われていた」

 打撃では技も魅せた。1点優勢の2回無死一、三塁。追加点が欲しい場面で、わずか1球でセーフティースクイズを決めた。記録は野選ながらも今季初打点を記録。前日20日の試合は途中出場で回ってきた同点機とサヨナラの場面で、いずれも空振り三振に倒れた。雪辱を誓った舞台で「スクイズでも1点は1点。仕事はできたと思う」と胸を張った。

 正捕手・梅野の故障離脱によって18日に昇格したばかり。ようやく1軍定着の好機が巡ってきた。「本当に僕のプロ野球人生を変えるチャンスでもあると思う。頑張りたい」。ここまで先発出場はわずか5度。入団6年目のニューヒーローが、この一戦を足がかりに道を切りひらく。(石崎 祥平)

 ◇長坂 拳弥(ながさか・けんや)1994年(平6)4月28日生まれ、群馬県出身の28歳。高崎健康福祉大高崎では1年秋から正捕手で、2年夏と3年春に甲子園出場。東北福祉大では3年春に首位打者。16年ドラフト7位で阪神入り。19、20年の2年連続でシーズン初打席本塁打。1メートル73、75キロ。右投げ右打ち。

【長坂に聞く】

――長坂選手です。ヒーローインタビューは。
 「初めてです」

 ――この景色を見た感想は。
 「すっごい気持ちいいです」

 ――4年ぶりスタメンだった。
 「僕にできること必死にやって、何とか爪痕を残そうと。その気持ちだけでやりました」

 ――スクイズも決めた。
 「本当はヒット打ってランナーをかえしたかったけど、あまり打てると思われてないので。でもスクイズでも1点は1点なんで。僕の仕事ができたと思います」

 ――終盤は。
 「めちゃめちゃしびれました」

 ――盗塁も刺した。
 「めちゃめちゃしびれました」

 ――明日も甲子園は完売です。
 「めちゃめちゃしびれてます」

 ――明日に向けて一言を。
 「めちゃめちゃしびれていきます」

 ○…長坂(神)が8回、増田大(巨)の二盗を阻止。20日の9回にもプロ初の盗塁阻止を増田大から決めており、通算2度目。捕手の増田大盗塁阻止は12人で16度。複数回は戸柱(D)の3度を筆頭に木下拓(中)、長坂が各2度の3人だが、許盗塁を挟まずに連続で阻止したのは長坂が初めてだ。

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