広島・九里 完封逃し「ダメ」も光る安定感 分岐点は9・28DeNA戦、制球に自信芽生える

[ 2020年10月21日 05:30 ]

セ・リーグ   広島5-1阪神 ( 2020年10月20日    甲子園 )

<神・広(21)> 3回2死、九里は代打・島田を空振り三振に抑え長野とグータッチ (撮影・後藤 大輝)
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 広島は20日の阪神戦に5―1で快勝した。九里亜蓮投手(29)は完封こそ逃したものの、9回途中まで4安打1失点に抑えて自身3連勝で7勝目。規定投球回数に到達し、防御率3・26はリーグ5位に再登場した。打線も初の4番に座った西川龍馬内野手(25)が2点先制打を放つなどして右腕を援護。チームの2連勝に貢献した。

 7勝目を手にし、チームを2連勝に導いたというのに、九里の開口一番は「ダメです」だった。今季2度目の完封勝利を目前にしながら、9回1死からの3連打で1点を失い、なお二、三塁での降板に厳しい表情で反省の言葉を並べ続けた。

 「最後まで投げ切れなかったところが悔しい。ああいう投球をしていると、8回まで良かったのが無かったことになる。今日は悔しさしかないです」

 8回までは見事だった。6回2死から近本に右翼線二塁打を許すまで無安打投球。「それは全然意識していなかったです」。七色の変化球と140キロ台半ばの直球を制球よく操り、好テンポで凡打の山を築いて阪神打線を寄せ付けなかった。

 分岐点は9月28日のDeNA戦だった。以降4試合で32回1/3を投げて、自責点はわずか2。5―0の8回、1死から7番・坂本のカウントが3ボールになった時、マウンド上で白い歯をのぞかせたシーンは象徴的だ。

 「ワインドアップだと疲れた時に小細工していた。セットポジションに変えて意図するボールを投げられる確率が上がり、ある程度はゾーンで勝負できているのかな…と」

 コースを狙い過ぎて無駄な四球を与え、自分の首を絞める以前の姿は消えた。坂本は9球目のフォークを打たせて三ゴロ。制球に自信が芽生え、完全にひと皮むけた。佐々岡監督は「ずっと試合をつくってくれている。頼もしい」と絶賛した。

 これで今季の投球回数は105回となり、規定に到達。9月21日の巨人戦の時点で4・46だった防御率は3・26まで改善し、リーグ5位に再登場した。残り3試合の登板で15回を投げれば自身初の規定投球回数クリア、いや、この勢いなら初の2桁勝利も見込める。

 「(2桁勝利は)長いイニングを投げた中で、後から付いてくるものだと思う。1イニングでも長くマウンドに居てかつ、しっかり投げ切れるように頑張りたいと思います」

 今や大黒柱。終盤に披露する九里のタフネスが頼もしい。  (江尾 卓也)   

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