阪神・球児 医者が手術勧める状態でも真っ向勝負 「今できる精いっぱいを」 12球中11球が直球

[ 2020年10月21日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神1-5広島 ( 2020年10月20日    甲子園 )

<神・広21> 6回無死一塁、上本を遊併殺打に打ち取り、笑顔の藤川 (撮影・平嶋 理子)                                                         
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 阪神の藤川球児投手(40)が20日の広島戦で引退表明後初めて登板し、1回を1安打無失点に抑えた。1軍では8月10日のDeNA戦以来、71日ぶり。計12球のうち最速147キロを計測した直球が11球を数え、完敗の中で精いっぱいの“火の玉”を本拠地のファンに届けた。残り17試合。あと何度、勇姿を見られるだろうか。

 甲子園の空気が変わった。5回終了後のグラウンド整備が終わり、場内アナウンスで「投手・藤川」が告げられた瞬間だ。一塁側アルプス席の観客は、ブルペンカーが出てくる通路沿いに集結。リンドバーグの名曲「every little thing every precious thing」に乗って背番号22が姿を見せると、完敗ムードで沈んでいた虎党の目が一斉に輝いた。

 「やっぱり試合が始まると(歓声は)聞こえないですね。マウンドに近づいていくと、聞こえなくなります。冷静でいて、だんだんスイッチが入るように。やっぱり習慣ですね。負けている展開だけど、ファンの皆さんも応援してくれて、チームの雰囲気もその後、変わったしね。今できるのは、しっかり登板で頑張って、チームを元気づけたり、勇気づけたりという役割もあると思うんで」

 全12球に魂を込めた。先頭の三好への初球は最速タイの147キロ。4球目を左前に運ばれても動揺しない。続く上本を直球で遊直併殺打。若い小幡の好プレーにマウンドで笑顔を浮かべた。最後は投手の九里を直球4球で見逃し三振。両軍ファンからの熱い拍手に左手を上げて応えながら、ゆっくりとベンチへ戻った。

 8月10日のDeNA戦以来の1軍マウンド。どれだけ久しぶりでも、どんな場面であろうとも、戦場に出るスタイルは変わらない。グラブは『不動心』と刺しゅうした18年モデルを選んだ。変化球はフォーク1球のみ。肩肘が医者から手術を勧められる状態でも「火の玉ストレート」の真っ向勝負を貫いた。

 「まだ体はかみ合ってはいないと思うんですけど。最後に向けてのね。今できる精いっぱいを。見に来られたお客さんであったり、テレビとかラジオを聞いている人たちに、最後まで頑張る姿を何とか感じてもらえたら」

 ファンが勇姿を見られる貴重な残り時間は、後輩には少しでも極意を吸収できる学びの時間でもある。「1人ずつで働くんじゃなく、みんなでタッグを組んで働けば、試合が生きた状態で戦える。そういうものの大切さとかは試合後に話をしました」。応援してくれるファンのため、そして、未来の猛虎のため。残り17試合。最後の力を振り絞る。 (山添 晴治)

 《記念グッズは自ら爆買い》藤川は試合前にツイッターを更新し、ちょうど20日から販売開始になった引退記念グッズを自ら購入したことを報告した。今回発売されたのは、数量限定のサイン入りグラブ、Tシャツやサインボールなど全33商品。「自分を忘れない様に何故か初めて自分のグッズを大量に買い込もうとしている僕がいる。誰に渡す予定もないのに…知らん。とりあえず買う!!」(原文ママ)と宣言後、お忍びで甲子園球場隣接の「チームショップアルプス」を訪れ、大量のグッズを抱え込む写真を投稿した。サングラスと背番号22の黒マスクを着用して“変装”した姿にフォロワーからも「めっちゃ忍べてないですね!(笑)」とツッコミが入るなど、ファンを楽しませた。

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