前横浜監督・渡辺元智氏、履正社の勝因は8回勝ち越し呼んだ信頼の継投

[ 2019年8月23日 08:15 ]

第101回全国高校野球選手権大会 決勝   履正社5―3星稜 ( 2019年8月22日    甲子園 )

決勝でマウンドに立つ履正社・清水(左)(撮影・平嶋 理子)
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 甲子園春夏通算5度の全国制覇を達成している前横浜監督の渡辺元智氏(74)が「星稜―履正社」の令和初の決勝戦の勝敗を分けたポイントを分析した。初優勝の履正社は投手陣の踏ん張りを勝因に挙げ、星稜は中盤の攻めに焦りがあったと評した。

 「星稜・奥川君VS履正社打線」以上に履正社の先発・清水君がどれだけ粘れるかが勝敗を左右すると思っていた。再三のピンチを迎えながら粘りに粘って7回途中まで3失点と踏ん張った。この投球が大きかった。2番手の岩崎君も準決勝・明石商(兵庫)戦の完投の自信から決勝戦という独特の雰囲気の中、落ち着いてピンチを乗り切った。岡田監督の継投への決断、選手への信頼が8回の勝ち越しを呼んだ。

 初回にスライダーで見逃し三振の井上君が、3回には初球のスライダーを3ランした。大会最高の投手と最高の打者の対決は名勝負だった。打線全体でも低めの変化球を見極め、奥川君を苦しめた。センバツで完封された屈辱、ライバル大阪桐蔭がいる中で春から夏の短期間で立て直した岡田監督の手腕は素晴らしかった。

 星稜は攻めに焦りが見えた。3回、先頭の山瀬君が二塁を欲張ってアウト。4回も無死一塁からバントの構えがボールとなって打たせて中飛。けん制に誘い出されるなど、中盤に1点でも返せていたら試合は違ったものになっただろう。奥川君も中盤から下半身に粘りがなくなったように見えた。その中でも見事な投球だった。

 屈辱の経験が多い岡田監督の執念がわずかに上回った履正社の優勝。素晴らしい決勝戦だった。(横浜高前監督)

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