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【さくらいよしえ きょうもセンベロ】らっぱ飲み誘うラッパ〜トーク

立ち飲み酒場「ヤッホー」の店内
Photo By スポニチ

 師走。ライター・さくらいよしえが向かったのは良心的なセンベロ酒場の宝庫、東京・亀戸。中でも異彩を放つニューウエーブが立ち飲み酒場「ヤッホー」だ。杯を重ね、元有名ラッパーの店主のトークに酔ううちに、思わず口をついて出るヤッホー!

 ドラム缶が置かれたマンションの111号室。今年、亀戸に誕生した激安立ち飲みだ。「しゃーせー」と元気のいい男がわしを迎えた。蛍光灯が照らす明るい店内。

 まず品書きが気になった。注文には独特の隠語があるらしい。「ものまね」と頼めばコロッケ、「バズハイ」と言えば緑茶ハイ(不忍池色だから)。「ヨネ」と叫べば米が出る。

 でもって同じグラスでお代わりすることは「オナグラ」と呼ぶ。何だろう、正体不明のビートにのみ込まれてゆく胸騒ぎ…。

 わしは、柚子胡椒(ゆずこしょう)風味のガツポン酢とマグロブツを肴(さかな)に、生姜(しょうが)がたっぷり入った「ガリハイ」をオナグラで重ねた。ふと壁に貼られている店主の毎週月曜日に書く“今週の名文句”が目に入る。

 「毎日反省なんかしてらんない。この仕事辞めたら考える」。思わずわしのハートにストライク。

 やはりただの男ではなさそうだ。実家は千葉・本八幡のラーメン店。幼い頃から「店の看板を背負っていることを忘れぬように」と教育されるも、のびのびグレて成長。

 20歳になると、「暴欲団」なるグループを結成する。3ミリ強めのパンチパーマにセカンドバッグを小脇に抱え、彼が目指したのは歓楽街…ではなくライブハウスだった。またはNKホール観客1万人の大舞台、やがてマイケル・ジャクソンも立ったNYのアポロシアターまで!正体は、一部熱狂的ファンを持つラッパーだった(実話)。

 グルーピーは構成員と呼ばれたそうだ。

 10年が過ぎ、3ミリパンチは「次はオレ、豚をとことん極めるぜ」と新たな情熱を燃やす。有名もつ焼き「西口やきとん」の門を叩き、「3年ガチで修業する」と決めた。

 「チャンスは道に落ちてねー。時速160キロで飛んでくる、オレそれつかむ。オレまだ失敗したことはねーよ。だから失敗するまでぶっこみたい。オレはリハから120パー、本番は200パー!」

 ガリハイでほろ酔うわしには、彼の話がもうラップにしか聞こえなかった。新客がやってくる。店主が「しゃーせー!」と迎える。「実は、“しあわせ!”って言ってんの」

 あの店行くとなぜか幸せな気分になるよね〜そんな噂の男になりたくて。

 知らぬ間に“構成員”となったわしらの「ヤッホ〜!」が亀戸の夜にこだまする。 (さくらい よしえ)

 ◇ヤッホー オープンは17年1月11日。銀座の立ち飲み「ドラム缶」の姉妹店。店主の後藤洋平さん(38)は当店のほか平井で串焼き「仁平次」を経営する。支払いはキャッシュ・オン・デリバリー。人気の「ガリハイ」のほか「仁平次割り」などナゾの酒も。“ナカ”焼酎の金宮にするとプラス50円。「西口やきとん」仕込みのモツ料理や、神保町の超有名カレー店でバイトしていた経験を生かしたカレーなどエッジの利いた小皿料理もおいしい。「しゃーせー」と迎えられ、「ヤッホー」と送り出してくれる。東京都江東区亀戸5の4の6、ダイヤモンドマンション111。電話番号は非公開。午後4時から午前1時。日曜定休。

 ◆さくらい よしえ 1973年(昭48)大阪生まれ。日大芸術学部卒。著書は「東京★千円で酔える店」(メディアファクトリー)、「今夜も孤独じゃないグルメ」(交通新聞社)「にんげんラブラブ交叉点」(同)など。

[ 2017年12月8日 12:00 ]

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