藤井王将“森の化石パワー”で王手かける 多忙さ癒やす…巨木に手を当てて「雄大さ感じた」

[ 2023年2月25日 05:20 ]

<第72期ALSOK杯王将戦 第5局前日>石見神楽の演目で使用する衣装、道具と共に記念撮影に臨む藤井王将(右)と羽生九段(撮影・西尾 大助、河野 光希、藤山 由理)
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 藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=に羽生善治九段(52)が挑む将棋の第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)第5局第1日は25日午前9時に島根県大田市の「さんべ荘」で始まる。24日は同所で対局場検分が行われた。2勝2敗で迎え、先手は藤井。朝日杯制覇の翌日が移動日という多忙さを、当地のさんべ縄文の森ミュージアムで癒やした。

 30秒以上樹皮に右手を当て、巨木と言葉を交わすようだった。対局場検分前、藤井は羽生と「森の化石」を見学した。約4000年前の火山活動による土石流で埋没した森林の痕跡。「自然の雄大さを感じた。いろんな条件が重なって残されていると知った。短い時間でも楽しく見学できた」。多忙さの中に見つけた有意義な時間を満喫した。

 準決勝で豊島将之九段(32)、決勝で渡辺明名人(38)=棋王との2冠=を連破した朝日杯から一夜明け。藤井は羽生と東京から空路島根へ入り、さらにバスで移動した。棋王戦とのダブルタイトル戦の最中とあり、3月2日には名人初挑戦が懸かるA級順位戦の最終一斉対局と重要対局が続く。

 「対局間隔が空きすぎるとペースがつかめない。自分にとってはいいペースでできているのかなと思う」。昨年は王将戦が4連勝で終了したため2月2局、3月1局。対局不足が課題だった1年前を思えば歓迎だった。

 2勝2敗のタイに追い付かれた第4局は、2時間24分考えた封じ手で誤ったという。「長考して間違えて、残念な一局。第5局以降、そういうことのないように、しっかり集中して指せれば」。朝日杯を制し、出場資格のある一般棋戦は銀河戦、JT杯に続き3大会で優勝。残るNHK杯も4強に進出して現行制度初、同一年度の一般棋戦制覇へ王手をかけた。

 棋王戦でも5番勝負を渡辺に2勝0敗として王手。さらに王将戦でも第5局を制した側が王手をかける。それ自体偉業と言えそうなトリプル王手へ、史上最年少5冠は眼前の1勝に集中する。 (筒崎 嘉一) 

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