勝ったよ、ムネ兄!!ヤクルト村上弟・慶太、激励LINEに応えるV打 九州学院7年ぶり優勝

[ 2022年7月27日 06:00 ]

第104回全国高校野球選手権熊本大会決勝   九州学院6―0秀岳館 ( 2022年7月26日    リブワーク藤崎台 )

<秀岳館・九州学院>胴上げされる村上慶
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 ムネ兄、やったぜ!プロ注目の九州学院・村上慶太内野手(3年)が26日、全国高校野球選手権の出場を懸けた熊本大会決勝で、3回に決勝打となる先制の左前適時打。6―0で秀岳館を下し、7年ぶり9度目の甲子園出場を決めた。兄で同校OBでもあるヤクルト・村上宗隆内野手(22)が、高2、3年夏の決勝で敗れた相手に雪辱し、聖地への切符をつかんだ。

 夏の熊本の空に、少しだけ近づいた。ナインの手で胴上げされた村上慶は、宙を舞いながら兄の無念を思い出していた。幼い頃、スタンドで見た同じ秀岳館相手の決勝での兄・宗隆の2年連続敗戦。だからこそ、格別な勝利だった。

 「絶対に自分が借りを返してやる気持ちでやった結果が勝てたので良かったです」

 村上家の野球3兄弟の末っ子。ヤクルトで4番を張る兄と同じ「4番」を任された今大会は、苦しい思いが続いていた。準決勝まで14打数3安打、打点なし。調子自体は悪くなかったが結果が出ず「苦しいというより少し重圧があった」。だが、平井誠也監督らから「考えすぎや」と声をかけられ、気持ちが軽くなった。3回1死一、三塁。外角のボール球を逆方向に運ぶ先制の適時打。今大会初打点が、甲子園を決める決勝打となった。

 「シャーッという気持ちだった。貢献できていなかったので、何が何でも決勝は打ってやるという気持ちだった」と振り返った村上慶を、平井監督は「勢いが出たと思います」と称えた。4番の一打でこの回3点を先制。5回2死からは四球で出塁し、2点の追加点につなげた。

 この日、福岡で球宴第1戦が開催された。セ・リーグ最多得票で選出され、前日福岡入りした兄からは「とにかく頑張れ。勝負だから勝ち負けはついてくるけど、気にせずに自分たちのプレーをやれ」と激励のLINEが届いた。「ありがとう。頑張ります」と返信。兄に薦められたロックバンドのWANIMA「りんどう」とMr.Children「終わりなき旅」を聴きながら球場入りして気持ちも高めた。そして、兄が1年生4番として出場した15年以来の甲子園出場を決めた。

 1メートル89の身長は兄を1センチ上回る恵まれた体。聖地での活躍次第では、今秋のドラフト候補へジャンプアップする可能性も秘めている。兄・宗隆が高校時代、4打数無安打で勝てなかった甲子園。「1点の重みが大事になる。1点をどう取るか練習して自分たちのプレーをして勝っていきたい」。今度は「甲子園安打&勝利」という兄の果たせなかった夢をかなえてみせる。(杉浦 友樹)

 ◇村上 慶太(むらかみ・けいた)2004年(平16)11月11日生まれ、熊本市出身の17歳。託麻南小4から軟式野球を始める。中学時代は熊本東リトルシニアに在籍。高校では1年秋からベンチ入りした。高校通算本塁打は6本。50メートル走6秒24。遠投96メートル。超えたい選手は兄のヤクルト・村上。憧れの選手はエンゼルス・大谷。好きな有名人は女優のチョン・ジョンソ。1メートル89、94キロ。右投げ左打ち。

 ▼ヤクルト村上(17年度卒)こうやって甲子園に出てくれるということはうれしいですし、僕も頑張ろうという思いになる。(弟と連絡は)そうですね。“おめでとう”って。一高校球児として、皆さんに見てもらえれば。僕の弟、僕の弟とよく言われますけど、一高校球児の一選手として、頑張ってもらいたいなと思います。

 ▽ヤクルト・村上の九州学院時代 1年だった15年夏の熊本大会は文徳との決勝に「4番・一塁」で出場。3回に右前同点打を放つなど5打数2安打1打点で5年ぶり8度目の夏の甲子園出場に導いた。甲子園では初戦の2回戦・遊学館(石川)戦に「4番・一塁」で出場も、4打数無安打(三ゴロ、三ゴロ、中飛、二ゴロ)。チームも3―5で敗れた。2年夏は秀岳館との決勝に「3番・捕手」で出場し、4打数無安打でチームも2―13で大敗した。3年夏も秀岳館と対戦。「3番・捕手」で出場し4打数1安打も1―3で敗れた。

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