【独占手記 坂倉将吾】「全ての面で楽しかった。タイプの違う打者の話を聞くのは楽しく喜び」初舞台を満喫

[ 2022年7月27日 07:00 ]

マイナビオールスターゲーム2022第1戦   全セ2―3全パ ( 2022年7月26日    ペイペイD )

<全パ・全セ>6回、一塁守備につき、左前打で出塁した山川(右)に声をかけられる坂倉(撮影・坂田 高浩)
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 「マイナビオールスターゲーム2022」第1戦(ペイペイドーム)が26日に行われ、広島・坂倉将吾捕手(24)が監督推薦による初選出の舞台を満喫した。今やラインアップに欠かせない不動の中軸。スポニチ本紙に独占手記を寄せ、プロとして自身が信じる道、恩師との秘めたる逸話を通じて、野球観やチームへの思いなどを明かした。試合は全パが3―2で全セにサヨナラ勝ちした。

 【独占手記】普段は対戦相手の選手が味方でいる。普段は話せない選手も近くにいる。初めてのオールスターは緊張することもなく、全ての面で楽しかったです。

 他球団の選手と話をする機会にも恵まれました。同学年なら阪神の佐藤輝やDeNA・牧。捕手ならヤクルトの中村さんや、中日の木下さん。たわいのない話から収穫と思えるものまで。いろんな意味で良かったです。

 ヤクルトの村上とは以前、会話する機会がありました。譲り受けたバットを試したところ飛ばないし、いい感覚で打てないので、どんな意識で打っているかを問うた。彼の答えは、詰まっても飛ぶ。僕には無い感覚です。僕は先っぽで打つ方が飛ぶと思っている。改めてスゴいと感じた。タイプの違う打者の話を聞くのは楽しく喜びでもある。引き出しにもなると思います。

 今季はサードでの先発が増えています。昨季はファースト。右と左で景色が違うし、同じゴロを捕るにしても長い距離を投げ、ゲッツーも取りにいかなきゃいけない。野球をより深く知ることができると思っています。

 ただ僕は、捕手として生きていかなければならないと考えています。なぜなら、僕自身が打者・坂倉将吾を評価していないから。3割、10本塁打の打者はいくらでも出てくる。長距離砲ではなく、打っても20本程度の選手がサードで何十年もできるかといえば難しい。でも、3割を打つ捕手は多くない。アドバンテージを生かしたいという気持ちです。

 正捕手の座をつかむためには、自分で磨ける技術を上げていかなければいけない。盗塁を刺す、ワンバウンドを止める、しっかり捕る。そうした部分でチームで一番にならないと。配球面は実戦で経験しないといいものは出ないと思うので、試合の土俵に上がるためにまずはそこです。

 打撃タイトルへの意欲をよく聞かれます。選手としては名誉なこと。チャンスがあれば獲れたら…とは思う。でも仮に、2位と1厘差で打率トップに立っていて、勝てば優勝、もしくはAクラスが懸かる最終戦の最終打席が同点の無死二塁で回ってきたら、何が何でも二ゴロを打つ。チームのために仕事ができる選手でありたい。常にそう思っています。

 高校3年夏の西東京大会準決勝。サインに従い、僕は初めて送りバントをした。そこでハッとしたんです。野球をやっている、野球ってこういうものなんだ…と。当時は3番。4番、5番が控えていると考えれば、勝つためには当然の作戦。正直、その時点まで考えたこともなかった。

 卒業後に母校を訪ねた際に、小倉全由監督から「あの時はすまなかった」と言われましたが、僕とすればむしろ、気付かせてもらってありがとうございます…という気持ち。勝ちたい集団に所属し、一つのピースであるなら大事なことです。

 後半戦も試合に出続けるのが第一。任された打順の責任を感じながら、結果を求めていきたいと思います。チームの勝利のために。(広島東洋カープ捕手)

 《途中出場で一塁守備》坂倉が途中出場し、6回から一塁守備に就いた。7回先頭で回った打席では、ロッテ・益田の内角高め145キロ初球を捕邪飛。変則モーションでの投球に「タイミングが取りづらかったけど、楽しかった。オールスターを感じられたというか」と笑顔だった。

 《転機の打席を回顧》日大三の小倉監督は、地元民放の番組で坂倉が高校3年だった16年夏の西東京大会準決勝・東海大菅生戦(7月25日、神宮)に言及。坂倉にバントのサインを出した2点を追う終盤の場面を振り返り「いま思えば、うちで一番いい打者なのに何で打たせなかったのか。反省している。坂倉も打ちたかったと思う」と語った。

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2022年7月27日のニュース