木更津総合の音をつなげ 卒業後のセンバツで夢をかなえた高品朱里さん

[ 2022年3月26日 01:06 ]

第94回選抜高校野球大会第7日第2試合 2回戦   木更津総合3-4金光大阪 ( 2022年3月25日    甲子園 )

スネアドラムを担当する木更津総合OGの高品さん(撮影・柳内 遼平)
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 第94回選抜高校野球大会第7日は25日、阪神甲子園球場で2回戦が行われた。第2試合では木更津総合(千葉)が金光大阪(大阪)に延長13回タイブレークの末、3―4で敗れた。今春に木更津総合を卒業した吹奏楽部のOG・高品朱里さん(18)は念願だった甲子園演奏を果たした。

 
 晴れ渡る青空の下、一塁側のアルプス席で木更津総合の吹奏楽部が選手を鼓舞する音色を奏でた。傾斜のついたスタンド席に距離を取って座るため指揮者はいない。スネアドラムを担当する高品さんのビートが演奏の羅針盤だった。
 
 「プレッシャーでしたけどやってみると楽しい。音が響かないから(他のパートの)演奏が聞こえないけど、みんなが合わせてくれることを信じて叩きました」
 
 千葉県木更津市出身で両親も木更津総合の卒業生だ。中学まではバスケットボール部に所属したが「小さい頃からずっと甲子園で応援したいと思っていました」と木更津総合に進み吹奏楽部に入部した。初めて叩くスネアドラム。メトロノームのリズムを体で覚えた。手のひらの皮が何度も何度もむけた。まさに血のにじむような努力も甲子園で演奏するためと思えば平気だった。

 1年夏の千葉大会で初めて球場で演奏。コロナ下の影響でそれが在学中、最後の球場演奏になった。3年生になった昨夏の千葉大会は感染症対策で演奏することができず手拍子で応援。「いつかはできるはず」と持ち続けた希望はかなわず、昨年12月の定期演奏会で吹奏楽部を引退した。

 だが、夢は続いた。6年ぶりにセンバツ出場を果たした野球部。コロナ下で入学してきた新2、3年生は球場演奏の経験がない。一度でも経験している高品さんの力が必要だった。3月9日から練習に合流し「野球部が叩く太鼓のリズムも考えて」や「指揮者がいないからスネアドラムの音に合わせて」とアドバイス。スタンド席を想定して学校の階段に座って練習もした。
 
 練習の成果を出した聖地での演奏。生徒、保護者、控えの野球部員、チアリーダー、そして吹奏楽部が一体となって応援した。チームは延長13回のタイブレークで力尽きたが、高品さんは言った。「最後の最後に夢がかないました。つれてきてくれたみんなに“ありがとう”と言いたいです」。3年ぶりに復活した演奏応援で木更津総合の伝統は引き継がれた。(柳内 遼平)

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2022年3月25日のニュース