大トリの大阪桐蔭 4年ぶり春1勝 川原は昨夏の、父の、リベンジ1失点完投 涙を糧に「粘りを意識」

[ 2022年3月25日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第6日第1試合・1回戦   大阪桐蔭3-1鳴門 ( 2022年3月24日    甲子園 )

<大阪桐蔭・鳴門>9回2死、鳴門・土肥を空振り三振に仕留めて勝利を飾り、ガッツポーズで雄叫びを挙げる大阪桐蔭・川原(撮影・北條 貴史)
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 1回戦1試合と2回戦2試合が行われた。1回戦最後の登場となった大阪桐蔭は背番号10の川原嗣貴(3年)が鳴門(徳島)相手に1失点完投し、4年ぶりの春1勝とした。

 9回2死無走者。最後の球を投げる前、マウンドの川原嗣貴は笑った。「勝てば弾みをつけられる」。こん身の141キロ直球で空振り三振。バックスクリーン方向へ雄たけびを上げた。108球を投げ1失点完投。大阪桐蔭に公式戦16連勝となる4年ぶりの選抜1勝をもたらした。

 「自分が最後まで投げてチームを勝たせるんだと…一人一人、確実に打ち取っていくことを常に考えて勝利に結びつけられました」

 先発を伝えられたのは当日朝。心の準備はできていた。7回以外は連打と三塁到達を許さず。昨夏の甲子園大会2回戦の近江戦では4―4の8回から救援も、1安打3四球で勝ち越しの2点を奪われて涙に暮れた。その敗戦を糧に「走者が出てからの気持ちの持ちよう、ピンチになってからの粘りを意識してきた」と胸を張った。

 川原家のもう一つの雪辱も果たした。父・宏一さんは広陵(現大和広陵)のエースとして85年選抜1回戦に先発し4回0/3を9失点。小学4年で初めて、相手に大会記録1イニング最多連続得点9、同10安打を許すことになった映像を見た感想は「めっちゃ打たれてるやん!」。だが成長とともにエースとして上がる先発マウンドの重みを理解した。母・綾子さんも実業団の元バレーボール選手。恵まれた体格に加え精神的にも大きくなった右腕に勝利の女神はほほ笑んだ。

 春の日差しに「10」が映えた。大阪桐蔭の2桁番号投手が選抜で完投するのは通算35試合目で初。次戦以降は6日間で4試合の過密日程となるが、完投したことで「2年生四天王」の一角、前田悠伍を筆頭に投手陣の温存にも貢献した。前々回Vの17年と同じ、大トリ登場で吉兆の白星発進。1点リードの8回にスクイズで追加点を奪った西谷浩一監督は「一本勝ちはできない。寝技に持ち込んで勝とうと選手に話していた」と言った。投打に隙のない野球で、Vロードを突き進む。(北野 将市)

 ◇川原 嗣貴(かわはら・しき)2004年(平16)6月30日生まれ、大阪府吹田市出身の17歳。幼稚園年少からポルテで野球を始め、東山田小3年時から千里丘イーグルスへ。千里丘中では北摂リトルシニアに所属。大阪桐蔭では2年春からベンチ入り。1メートル88、86キロ。右投げ左打ち。

 《センバツ27勝は12位タイ》大阪桐蔭は鳴門に勝ち、選抜通算27勝目。日大三、智弁和歌山に並び12位タイに浮上した。春夏通算は65勝で単独11位のまま。大阪桐蔭・西谷浩一監督は春夏通算57勝目を挙げ、歴代2位のPL学園・中村順司監督の58勝にあと1に迫った。大阪府勢と徳島県勢は選抜8度目の対戦で大阪の5勝に。春夏通算では10度目で大阪の6勝。大阪桐蔭は春夏通じ徳島県勢と初対戦で初勝利を挙げた。

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