侍・栗山監督 甲子園に学ぶ短期戦の選択、判断

[ 2022年3月25日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第6日 ( 2022年3月24日    甲子園 )

センバツを甲子園で視察した侍ジャパンの栗山監督(NPBエンタープライズ提供)
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 【秋村誠人の聖地誠論】甲子園には常に「学び」がある。野球人の原点でもある、と。ずっとそう話してきた侍ジャパン・栗山英樹監督(60)が、甲子園を訪れ、センバツ第6日を視察した。

 プロとアマの関係促進、連携強化という責務とともに、来年開催予定のWBCへ向けた自らの「学び」も、この視察の目的だった。「日本の野球の最も中核を担う高校野球。野球の大切なものを感じながら来年に向かうことも大事だと思っている」。世界で勝つために野球人の原点から学ぶ。目標達成へ向け、全てをやり尽くそうとする栗山監督の信条を感じた。

 プロ野球はリーグ戦ベース。対してWBCはトーナメントに近い戦いだ。「その戦いを一番経験しているのが高校野球の監督。自分ならどうするかを考えて見ている」。第1試合では、力のある投手陣を持つ大阪桐蔭で背番号10の川原嗣貴が完投。接戦の中、西谷浩一監督は継投に出なかった。投手の状態、状況を見極めての判断に「なるほどなと思った」。短期戦で選択、判断を間違えないための「学び」である。

 21日には、タイブレークで決着した木更津総合―山梨学院をテレビ観戦。山梨学院の内野5人シフトに着目して「凄く参考になった」とも言った。

 それにしても、栗山監督がこの立場で甲子園を訪れるとは感慨深いものがある。03年に始まったプロ野球の現役選手による高校生を対象にしたシンポジウム「夢の向こうに」で司会を務めたのが栗山監督。ここからプロアマの雪解けが進み、元プロ関係者が高校生を指導する道が大きく開けていった。あれから19年。プロアマの現状について問うと「少子化の中、野球に携わる全ての人が手と手を取り合って進む時期に来ていると思う」という答えが返ってきた。

 栗山監督の言うオールジャパンとは、そういう意味だろう。甲子園から学び、世界の頂点へ。意義深い来訪だった。(専門委員)

 ≪今秋強化試合 高校生選出も≫栗山監督は今秋に予定される強化試合について、アマ選手も選手選考の候補に入れる考えを示した。「プロ、アマ関係なく、全ての野球人でWBCを戦うと思っている。高校生も可能性ゼロではない」と説明。中止となった5、6日の予定だった台湾代表戦では大学生2人を選出しており「先入観を捨ててもう一度真っ白な状態で組み立てていく。高校生が入ってきたら夢がある」と続けた。

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