加藤学園 甲子園1勝 待望の初聖地で輝いたナインの笑顔

[ 2020年8月13日 07:30 ]

2020年甲子園高校野球交流試合   加藤学園3―1鹿児島城西 ( 2020年8月12日    甲子園 )

<加藤学園・鹿児島城西>試合に勝利し笑顔がはじける加藤学園ナイン(撮影・河野 光希)
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 歴史的勝利――加藤学園がエース右腕・肥沼竣(3年)の好投で鹿児島城西との初出場対決を制した。持ち前の制球力を生かし、相手打線に9安打を浴びながらも1失点に抑え、6三振を奪う粘りの投球で完投した。2番・杉山尊三塁手(同)、3番・大村善将二塁手(同)ら打線も奮起し、3点を挙げてエースを援護した。ナインはきょう13日に帰静。次は新チームで来春のセンバツ出場を目指す。

 最後の打球を大村がしっかりと捕球し、二塁に入った太田圭哉遊撃手(1年)にトス。塁審のアウトの宣告に、マウンド上のエースの顔に笑みが広がった。119球の力投で甲子園初出場初白星。普段からポーカーフェースを貫く右腕は「ここ最近で一番良かった投球。甲子園で(校歌を)歌えてとてもうれしい」と、高校最初で最後の聖地での勝利の校歌に満足そうにはにかんだ。

 9安打を打たれながらも、直球と変化球を内外角のコースに投げ分ける持ち前の制球力は抜群。「真っすぐが伸びていたのでフライを上げてくれた。最後はしっかりアウトコースに投げ切れた」と打たせて取る投球で鹿児島城西打線を1点に押さえ込んだ。

 仲間の助けが大きな力となった。「正直きつい時もあったけど、仲間が助けてくれた」と、4回2死二塁では中堅・佐野陸斗(2年)が矢のような好返球で二塁走者を見事に刺し得点を阻止した。6回2死二塁、3番・大村が「肥沼を助けられて良かった」と待望の中前適時打で先制。8回も2死二塁で2番・杉山が2点ランニング本塁打を放ち、チーム全員が一丸となってエースを援護した。

 高1の春、大阪遠征で第90回選抜高校野球大会を観戦。三重と大阪桐蔭の準決勝に「迫力が凄かった」と初の甲子園の試合に心奪われた。約2年ぶりの聖地に選手として立った。「マウンドに立った時の迫力、球場の大きさに緊張が止まらなかった」と緊張、重圧…さまざまな思いを胸に力の限り右腕を振り抜いた。

 順調な野球人生ではない。中学時代、瑞穂リトルシニアでは控え投手。「辞めたくなった時期もかなりあった」と高校では違う部活を考えたこともあった。それでも埼玉から沼津市の加藤学園に入学。1年秋からエースとして米山学監督(42)指導の下、厳しい練習を耐え抜いてきた。コロナ禍でのセンバツ中止、夏季静岡大会初戦敗退とつらい時期を経てたどり着いた甲子園。「最後に良い思いができた。中学で野球を辞めなくて本当に良かった」と3年間を振り返った。卒業後は大学で野球を続ける予定。「大学では必ず勝てる投手になれるように」。歴史を刻んだエースは自信とともに新たなスタートを切る。(畑 大地)

 《公式戦デビューの1年生「財産伝える」》公式戦デビューの1年・太田遊撃手が聖地で3打数2安打と大暴れした。「積極的に行って良かった。甲子園の神様が味方してくれました」と3回に中越え三塁打。6回には先制点につながる左中間二塁打を放つ。守備でも8回、安打性の当たりを横っ跳びの美技でエースをもり立てた。攻守で躍動したルーキーは「今の3年生の財産を他の1年生に伝えるのが役目。信頼される選手になれるように」と新チームにつないでいく。

 《父母会も歓喜》歴史的勝利に熱いものが一気にあふれた。父母会の一員として銀傘下三塁寄りで歓喜。119球を投げ抜いたエース右腕・肥沼の父・圭一さん(47)は「最後を(完封で)締めてもらいたかったですけど、それもうちの息子らしい。夢の舞台で最高のプレーを見せてくれて“ありがとう”という言葉しか出ません」と号泣した。
 この日は午前3時に沼津市内をバス6台で出発。同10時半前には甲子園入りした。慌ただしい一日を仕切った父母会の杉山尚会長(51)も「感動。鳥肌ものです」と男泣きした。8回に長男で2番の尊が右中間にランニング2ラン。「最後に1本出て良かった」と安堵(あんど)しつつ、何よりもうれしかったのはベンチに入れなかった控えの3年生も一緒に涙している姿だった。「最後に校歌を歌えて良かった」とその表情は笑顔に変わっていた。

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