中京大中京・高橋 下半身どっしり 体全体に強さある 槙原寛己氏が連続写真で解説

[ 2020年8月13日 05:32 ]

2020年甲子園高校野球交流試合   中京大中京4―3智弁学園 ( 2020年8月12日    甲子園 )

9回に153キロを計測した、中京大中京・高橋(撮影・北條 貴史)
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 スポニチ本紙評論家の槙原寛己氏(57)が、中京大中京・高橋の投球フォームを連続写真で解析した。どっしりとした下半身を含めて鍛えられた体全体の強さを高く評価。終盤でも150キロ台を投げ続けられた理由に挙げた。体の開きが早いところを課題に挙げつつ、伸びしろは多く、プロに入ればさらに球速が伸びると保証した。

 《「逆くの字」意識を》 投げ方自体はオーソドックスだが、随所で体全体の強さが感じられる。まず(5)の立ち姿。無駄なひねりなどがなく、一直線にピンと立てている。バランスが良く、下半身は鍛え上げられていて相当強いのだろう。どっしりと太く感じられる。

 (6)で軸足に乗った力を前に伝えていくが、ちょっと頭が前にいっている。もう少し左側に残し、ヒップファーストで「逆くの字」がつくれると、ためた力をもっとうまく使える。
 (7)~(9)にかけて、グラブの使い方もいい。体が開くのが早く、この日は直球がシュート回転し、スライダーも曲がるのが早かった。そこを自分でも意識し、開くのを少しでも抑えようという狙いが伝わってくる。

 開くのが早い原因はいくつかある。まず(8)の左足。かかとから着地しようとしている。ここは親指付け根の母指球から閉じ気味に入ってほしい。かかと着地だと足先が一塁側へ回りやすく、結果左膝が開きやすくなる。

 《胸の張りが美しい》 着地した(9)では、トップができていない。この段階で右手の位置がここでは遅い。腕の振りでリリースでは遅れを取り戻し間に合わせているが、開きやすくなる要因の一つで、右腕が顔から離れてしまうことにつながる。

 (10)以降の一連の流れは実に素晴らしい。(10)は「CHUKYO」の文字に注目してほしい。「U」は割れて「W」に見える。美しい胸の張り。彼の長所は上半身や下半身などどこかに頼るのではなく、体全体が強くて、その力を連動させ、余すことなくボールに伝えていること。この胸の張りが物語る。

 (11)で腰の位置が沈んだり、ぶれずにキープできているのも同じ理由で良い。(12)にかけてからそれ以降、左膝をしっかり止めて伸ばしている。地面からの反発力を逃さず、骨盤の回転が使え、上半身が加速する。それが(16)までずっと感じ取れる。右足のスパイクの裏も見てほしい。完全に上を向くほど右足の蹴りも使えている。

 開きの早さ、股関節の硬さなど気になる点はある。逆に未完成で、伸びしろがたっぷりあるということ。開きを抑えれば、シュート回転が減って球速は伸びるし、変化球も打者の手元でもっと変化するようになる。プロとして通用する「剛」の部分は十分見せてくれた。これに「柔」が合わされば、長く活躍する選手になれる。 (本紙評論家)

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