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“殿下”小野寺昭 71歳の挑戦「元気のバロメーター」

[ 2015年5月22日 05:30 ]

数々の山々をクリアしてきた小野寺昭。丹沢山の雪道を歩く
Photo By 提供写真

 俳優の小野寺昭(71)は50歳を過ぎてから山歩きを本格的にスタート。日本を代表する「百名山」のうち、これまで60の山に登った。「山歩きは元気のバロメーター」。70代を迎えた今も若々しい“殿下”流の山の楽しみ方を聞いた。

 面白くない山なんてないですよ。険しい山にはクリアした時の快感があるし、低山にも必ず魅力がある。どんな山にも自分なりの楽しみ方があるんです。

 僕が忘れられないのは山形県の鳥海山。NHKで、北海道の大雪山なんかと5元中継する山の特別番組があった。鳥海山の担当を任せられて一度下見しようと登ったんだけど、霧がかかって真っ白け。これじゃ紹介できないと、もう一度登ってみた。でも、また霧で何も見えない。展望も期待できないなと、諦めていたら奇跡的に頂上で晴れた。

 そこから見える鳥海湖のグリーンと真っ青な空、真っ白な雪がとてもキレイでね。「ダメか…」という思いが頭をもたげた中での奇跡的な展開。美しい山は何度も見てきたけど、あの景色を見た時の感激は忘れられない。ところが結局、番組は台風で中止になった。そういう思い出もあって、鳥海山はチャンスがあればもう一度行ってみたい山ですね。

 もう二度と登らないと決めている山もひとつだけあります(苦笑い)。長野県の七倉岳。山小屋を訪ねる番組のロケで、登る前はディレクターから「割と簡単」と聞いていた。ところが、これが大変な山でね。垂直なハシゴや崖のような岩場を登っても登っても山頂にたどり着かない。そして帰りは土砂降りの雨にたたられた。今までで一番つらい山。これも一生忘れられないですね。

 山歩きが趣味になったのは50歳を過ぎてから。番組ロケで登った山頂で食べたおにぎりがおいしくて、下りた時に「山っていいな」としみじみ思った。僕は苦しいことを乗り越えた時の快感が大きいタイプ。そのナルシシズムが刺激されたんでしょうね。山にどっぷりはまりました。

 最近は大阪芸術大短期大学部メディア芸術学科の学科長として週の半分を大阪で過ごしているから、以前のようなペースでは行けなくなった。でも、ナレーションを務めるBSフジ「絶景百名山」で山を見ると、やっぱり出掛けたくなりますね。

 僕にとって山歩きは元気のバロメーター。頂上まで行って下山できるうちは舞台に立てる。体力づくりのトレーニングにもなる。俳優を続けていく限り、山にお邪魔することになりそうですね。

 ◆小野寺 昭(おのでら・あきら)1943年(昭18)9月19日、北海道帯広市生まれ。日本テレビの刑事ドラマ「太陽にほえろ!」の殿下役で一躍人気者になった。北野武監督の最新作「龍三と七人の子分たち」に出演。

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