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【全国ジャケ食いグルメ図鑑】岩手県一関市 大福屋 餅と麺、まさかのランデブー

[ 2018年7月20日 12:00 ]

看板はなく、のれんに店名の「大福屋」
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 人気ドラマ「孤独のグルメ」の原作者、久住昌之さんが外観だけで店選びをする「全国ジャケ食いグルメ図鑑」。日本人は「餅」好きですよね。正月だけでなく、団子や甘味でしょっちゅう食べるソウルフード。岩手県一関市で見つけたのは、まさかの餅と中華そばとのランデブー。重厚な外観に負けず劣らず、おなかにずっしりとくる名店です。

 岩手県一ノ関駅から、カメラマンの運転する車で気仙沼に向かおうと、走りだした途端、この店を車窓から発見。思わず「停(と)めて!」と言ってしまった。

 車を降りて店に前に立つ。どうですか、このジャケット、つまり店構え。

 「大福屋」。表に看板はなく、深緑の暖簾(のれん)にでかでかと店名が書かれているのが素晴らしい。ありそうでなかなかない。

 ショーケースは空で「申し訳ありませんが本日、だんごは品切れました」とある。間違いなくおいしいだろう。ショーケースの下には相当古そうな餅をつくための臼もある。餅の店なんだろう。あとで知ったが、餅は岩手のソウルフードなんだそうだ。

 でも、ボクの目を一瞬で引いたのは、それだけではない。「クリームあんみつ」や「ところてん」と並んで「中華そば」「力うどん・そば」と書かれた短冊だ。麺類のある甘味屋。ぐっとくるじゃないか。

 夜は気仙沼で食べる予定だったが、気にしていられぬ。こんな店にはなかなか再会できない。

 迷うことなく入店。午後4時30分。客は誰もいなかった。

 壁のメニューには「寒天メニュー」と「もちメニュー」そして、そばうどん中華そばのメニューがある。夏場だからかき氷もあるし、冷やし中華もある。

 「どの麺にも餅をお入れできます。1枚75円で」と書いてあるのが、さすが餅の店。ラーメンに餅を入れる人もきっといるんだろうな。ボクは考えられない。

 迷うことなく中華そば480円を頼む。安い。同行のカメラマンと編集者が餅の大きさを聞くと店員さんが「ひとつはこんな小さいです」と手で示すので、編集者が、ごまもちとあんもち、カメラマンはずんだもちとのりもちを注文。来たものを見て2人ともびっくり、一皿一個の餅にどっさりと餡(あん)やずんだがのっている。かなりのボリュームだ。ごま餅、真っ黒。

 中華そばは、細麺の昔ながらの醤油(しょうゆ)ラーメンで、安定のおいしさ。軽かったので、デザートにきなこ寒天を追加。寒天がおいしかった!きな粉と蜜をかけると素朴なおいしさで、うれしくなった。

 2人とも餅はとてもおいしいので、売り切れのだんごは間違いなく最高に美味なのだろう、としきりに惜しがっていた。だんごは1本95円から110円。餅は、一番高いずんだもちで一枚155円と、恐ろしく安い。

 こんな店でかき氷を食べる夏もいいだろう。冬はお雑煮も食べて見たい。本当に直感に導かれ、飛び込みで入ったけど、ジャケットを裏切らない名盤、いや名店だった。

 ◇大福屋 創業明治45年の老舗和菓子店。岩手県産と宮城県産のこだわりの米を使った餅(105円〜)とだんご(95円〜)。夏はかき氷、冬はお雑煮も楽しめる。中華そばは480円、力うどんは580円(餅2枚入り)。どの麺にも1枚75円で餅を追加トッピング。岩手県一関市大町6の31。(電)0191(23)3566。営業は午前8時30分〜午後6時。日曜営業、不定休。

 ◆久住 昌之(くすみ・まさゆき)1958年、東京都生まれ。漫画家、漫画原作者、ミュージシャン。81年、和泉晴紀とのコンビ「泉昌之」として月刊ガロにおいて「夜行」でデビュー。94年に始まった谷口ジローさんとの「孤独のグルメ」はドラマ化され、新シリーズが始まるたびに話題に。舞台のモデルとなった店に巡礼に訪れるファンが後を絶たない。フランス、イタリアなどでも翻訳出版されている。

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