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【さくらいよしえ きょうもセンベロ】店主のアイデア商法 世にも不思議な立ち飲み中華

中華をさかなにお客さんと立ち飲みで、談笑するさくらいよしえ
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 近年、立ち飲みブームである。センベロライター・さくらいよしえが訪れたのは東京・武蔵小山。立ち飲み居酒屋「盛苑(もりえん)」は、人のよい中国人シェフが作る本場の広東料理が食べられる。飲んで食べて、春に酔う。

 家の近所を散歩中、無性に気になり、引き寄せられた当店。世にも珍しい本格中華の立ち飲みだ。

 「ワタシ、欲しいもの何もない。ぜいたく好きじゃない。料理イチバン好きね」という中国人店主・ローさんの瞳はビー玉のように澄んでいた。

 買い出しは「マイベンツ」(自転車)。下の名はコシュンで、国雄と書く。

 わが祖父、くにおと同じ漢字だ。祖父もぜいたく嫌いの仕事人間だった。

 ローさんは、中国・広東省から25年前に来日。目黒の「大鴻運天天酒楼(だいこううんてんてんしゅろう)」をはじめとする名店でコックを務め、故郷の両親には「家をプレゼントしたヨ。中国では当たり前。自分は小さい家に住んでバカみたい(笑い)」。

 でもなぜ立ち飲み?

 150円からある品書きは約70種。すべて1人前の小皿で、注文ごとに調理するから、手間はかかる。 

 元々は着席の店を営んでいたローさんだが、「いい時はいいけど、入らない時は閑古鳥」だった。

 ある時、近所に客足の絶えない人気店を発見。

 偵察に行くと「ビックリした。すごく安い立ち飲み屋さん。よし、中国料理でこれヤロウ!」

 ビー玉の瞳に、商魂がキラリと宿った…。

 オススメは1羽まるごと蒸し上げる「しおどり」。香菜をたっぷりからめて食べると絶品だ。それに白菜の酸辣(サンラー)炒めに、山椒(さんしょう)の香りが爽やかに吹き抜ける鶏肉と豆腐のマーラー鍋。むちむちの皮も手作りの小籠包(しょうろんぽう)などどれも繊細で優しい味付け。まさに底値価格で星3つ。

 夕暮れ時、隣でのんびりおじさんが飲んでいた。「散歩してたら、この店が何だかとても気になりましてね」「おや、私もですよ」。自己紹介をしたら、おじさんの名は、わが父と同じひろしだった…。

 ダブルの奇縁。わしは勝手に気を良くし広東のスナック菓子「旦散」をお隣さんとシェアしながら、中国産の梅ワインや紹興酒でほろ酔った。

 そうか、きょうは祖父と父からの応援メッセージだなアと思った瞬間、どこからともなく「飲み過ぎ注意〜」と2人の声が聞こえた気がしてドキッとした。

 ローさんにも娘さんがいる。「結婚しましたよ。お店で出会ったお客さんと。ワタシ、結婚式で全然泣けなかった。あははー」

 ムコさえも引き寄せる。えにしを結ぶ中国4000年の味、恐るべし。 (さくらい よしえ)

 ◇盛苑 アテがうまくて安いからつい酒もすすむ。青島ビールやカメ出し紹興酒など中国酒のほかにホッピーなどの定番、居酒屋酒も。店主の羅国雄さんは広東省出身の64歳。独特のイントネーションで話す日本語と話題で客は癒やされる。オススメは「しおどり」に「焼き小籠包」、「水餃子(ギョーザ)」など。東京都品川区小山4の5の6。(電)03(3786)4566。営業は午後3時から午前3時。水曜日定休。

 ◆さくらい よしえ 1973年(昭48)大阪生まれ。日大芸術学部卒。著書は「東京★千円で酔える店」(メディアファクトリー)、「今夜も孤独じゃないグルメ」(交通新聞社)「きょうも、せんべろ」(イースト・プレス)など。

[ 2018年3月9日 12:00 ]

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