【だから元気!】三田佳子をつくる“母の愛” 体力勝負の女優業 支えてくれた品数豊富なお手製弁当

[ 2022年10月17日 14:28 ]

華やかな雰囲気をまとう三田佳子(撮影・西尾 大助)
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 著名人に健康や元気の秘訣(ひけつ)を語ってもらう企画「だから元気!」。今回は81歳の今もなお、華のある存在感で第一線を駆け抜ける女優の三田佳子さんです。今月28日公開の映画「天間荘の三姉妹」(監督北村龍平)の撮影直前には左化膿(かのう)性肩関節炎を患い、降板の危機に…不屈の女優魂の根底には、食を通じた“母の愛”がありました。(取材・構成 小田切 葉月)

 本当は今回の映画、降りようと思ってたの。撮影に入る直前の昨年9月に関節内の感染症「左化膿性肩関節炎」になって、緊急入院。撮影に迷惑はかけたくなかった。監督さんの熱意を受けて続けることを決めたけど、前半は片腕がうまく使えず苦労。でもスクリーンを通して見ると、そんなこと感じないでしょ?そりゃあ役者ですから、腕が使えないことは悟られないよう、演技しました。

 数年前にも、首の骨の内側に膿(うみ)がたまってコブができる感染症「頸椎(けいつい)硬膜外膿瘍」を患いました。その時も死ぬと思いましたし、引退も覚悟。感染しやすい体質なのかな?今回もこれから先、腕が上がらなくなっても仕方がないって状態で不安いっぱいでしたけど…役どころが臨死状態のおばあさん。思わぬところで役作りができちゃいました(笑い)。治療も終えて、今は元気です。

 撮影の合間に、おいしいご飯を食べに行くのが息抜きでした。イタリアンや中華は基本フルコース。おそば屋さんでは、おそば1人前と天ぷら、そして卵焼き。市場の魚屋さんではお刺し身に焼き魚…1回の食事で何種類も食べないと、気が済まないですね。年を重ねてエネルギーをためられなくなったので、食事で補っていかないと。何種類もたくさん、という考え方は、私の母の教えです。

 デビュー当時から撮影はかなり多くて、体力勝負な日々。そんな私を心配して、日の丸弁当が主流だったあの頃に、おかずが何品目もある弁当を母が作ってくれてたんです。お味噌汁まで作ってくれて、撮影所では「三田さんのお弁当」って結構有名だったんですよ。いろんなおかずから栄養やエネルギーを摂取。撮影続きの毎日を乗り切れましたし、今では癖。私の健康維持法です。
 自炊する時も、朝食は最低5、6品。少量ずつですが、魚にお肉に野菜炒めやサラダ、納豆、具だくさんの味噌汁、卵など。食物繊維や発酵食品は取り入れることが多いですね。ヨーグルトも腸に良いので食べます。毎日何を食べようか?と考えることで、頭の体操にもなってる気がします。

 あと母からは「歯より歯茎を大切に」と教えられたので、歯茎にいい歯磨き粉を使用。歯を支える場所が衰えると、口周りや顎の力に影響。役者としてセリフ回しがはっきりしなくなることにつながるので、気にしています。今の私があるのは、母の愛があるからこそ。いつまでも教えを守って、女優としていろんな作品に出演し続けたいですね。

 〇…出演する映画「天間荘の三姉妹」は女優のん(29)門脇麦(30)大島優子(33)が3姉妹を熱演することでも話題で、「特にのんちゃんのピュアな感じが、作品の雰囲気にぴったりでした」と振り返る。作品は天界と地上の間にある街「三ツ瀬」を舞台に、命や人の生死などについて見る人の心に問いかける物語。「生と死の中間で立ち止まって考えられるのって凄くロマン。命の大切さを再確認できる時間だと思います」とアピールした。

 ◇三田 佳子(みた・よしこ)1941年(昭16)10月8日生まれ、大阪府出身の81歳。60年「殺られてたまるか」のヒロイン役で女優デビュー。86年「いのち」94年「花の乱」とNHK大河ドラマ2作に主演。近年では映画「約束のネバーランド」、TBS「凪のお暇」「プロミス・シンデレラ」など幅広く活躍している。

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